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校長挨拶

59期生のみなさん。今日でひとつの、そして大きな到達点を迎えることができました。通学途中の町の景色、教室の机、チャイムの音、礼拝の時の音楽、出席をとる担任の声、そんな日常を積み重ねたこの学校とも、今日で一旦お別れとなります。卒業証書を手にしたみなさんに、まず、お祝いと労いの気持ちを込め、ひと言送ります。
「おめでとう」そして「よくがんばりました」。

みなさんは、日本全国のあちこちからここ余市に集まり、同じ学年として偶然繋がった奇跡的なメンバーです。ここに辿り着くまでの間に、納得のいかないことに行き詰まり苦しんでいた人もいます。勉強や部活など周りについていけずに自分がダメな人間だと感じたり、環境を変えないと自分という人間を保てなくなる気がして、勇気を持って遠く離れた学校を選んだ人もいました。知っている人がここに通っていたことから、その人の成長が背中を押して一歩進めた人もいるでしょう。きっかけは様々でも、同じ時間と空間をすごして、卒業の日を迎えた仲間とともに、今日の日を喜びましょう。

さて、今日の挨拶にはみなさんへのお祝いのことばをたくさんたくさん届けて終わることもできるのですが、皆さんと向き合える最後の機会でもあるので、期待とお願いを託すこととします。
校長の最後のワガママに付き合って下さい。

みなさんは、北星余市の61年の歴史のうち3年間を担ってくれました。わずか1/20程度ではありますが、それでも本校が大切にしている「人は違って当たり前」とか「やらずに諦めるよりやって失敗する方がかっこいい」という考え方に基づく環境やその伝統を一緒に守り育ててくれたことが、とても嬉しいことなのです。
きっと、後輩たちにもその空気感や安心感が受け継がれたと思います。
そういった環境でクラスや学年を作ってきた皆さんが、3年生の最後の学園祭で選んだ合唱曲には、自分たちの気持ちを表すフレーズがたくさん入っていたと思います。例えば、

「答えがある問いばかりを教わってきたよ だけど明日(あす)からは、僕だけの正解をいざ探しにいくんだ」や

「共に過ごした日々を胸に抱いて 飛び立つよ一人で 未来(つぎ)の空へ」といったフレーズに、みなさんが卒業後の生き方を意識したことを感じました。

卒業後の新しいステージに自分の力で立ち向かう勇気と希望を歌に託して、仲間とステージに立つ姿は、さすが最上級生といった風格でした。準備期間にぶつかり合いながらも、あの歌声を完成させた成果は、誇りに思ってください。
そして、これからも、目標に向かって、誰かと一緒に考え、動き、形にしていく関係を大切だと考え続けられる人でいて下さい。

高校を卒業する皆さんにとって、「学ぶ」という形がこれまでとは大きく違ってきます。中学や高校のように、一般教養という広く様々なものを網羅することがなくなっていきます。
私立の高校には毎年教科書の見本が届き、次の年にどの教科書を採用するか見比べながら選びます。ここ最近の教育は徐々に効率の良さやわかりやすさに偏る傾向があります。例えば「歴史」では掲載されている内容が「本当に過去を正しく引き継ぎ、未来を考えるための構成になっているのか」と感じたり、「国語」は人の気持ちを表現したり、思考を広げるためのきっかけとなる作品に多く触れるべきでありながら、説明文の内容を正しく読み取る技術というものに傾きつつあるように見えています。
それが、今の社会の求める力なのかもしれません。しかし、教育というものは効率の良さを追求するのではなく、人間性を育むものであるべきで、思春期に学んでほしい事柄が薄まっていることに危機感を感じます。この先、学ぶ目的や分野がより専門的に、より自分の好みのものに限られていくことになるでしょう。そのため、学ぶ内容は自ら求めていかなければ手に入らないようになっていくかもしれません。ぜひ、手の届くものだけに満足せず、いろんな方向に目を向け続けられる大人になってください。

式辞の初めに、今日の日を「到達点」と表現をしましたが、「通過点」といった方が正しいのかもしれません。卒業するみなさんは、もうしばらく思春期や青年期と呼ばれる年代を生きます。まだまだ未熟な部分があるでしょうが、同時にいろんな経験を吸収できる年代でもあります。

聖書に次のような言葉があります。
「知恵ある者と共に歩けば知恵を得、愚か者と交われば災いに遭う。」
(箴言1320)。

これから皆さんが生活する社会は、自己責任ということばがついて回る場所となるでしょう。それは、とても自由で選択肢が増えるという素晴らしい面があるのと同時に、自ら求めなければ耳の痛い忠告は届いてこなくなり、自分を律することが難しくなることでもあります。一人暮らしをする人もいるでしょう。起きる時間や食事の栄養バランスをうるさくいってくれる保護者や管理人さんはそばにいないことになります。自分の好きな情報や物に囲まれてしまい、視野が狭くなることもありえます。また世の中では、現在は自分と異なる意見や主張に対し見下すような態度を取る人も多く、人種や国籍だけを理由に短絡的で暴力的な分断や区別をしてしまう風潮もあります。
時間をかけ、無駄も楽しみながら、人と関わる中でその人を判断する。
じっくりと味わう余裕は意識しないと手に入らない、そんな時代になっているように感じます。他人って付き合ってみないとわからないということは、すでに何度も体験しているみなさんです。ですから、これから生きていく場所でも、人と関わり続けてほしいのです。周りが「無駄なことするなよ」「面倒臭いやつだな」「不器用だな」と言っても、自分が大切だと感じたらその気持ちに蓋をせず、動いてほしいと思います。あなた自身も知恵のある人でありつづけ、お互いの大切にする価値観や感性を尊重し、大切にしあえる仲間を作る。そんな人生を歩んでいけることを願い、祈りたいと思います。

そして最後に卒業する皆さんにお願いです。毎年お願いをしている事柄です。
これから先、ぜひ弱い人の側(がわ)に立てる人になってください。困っている人がいたら声をかけられる人になってください。勇気のいることですが、その勇気と優しさを備えてください。
まだまだ日常に戻れていない自然災害や原発事故で生活を奪われている人がいます。世界のあちこちで起こる紛争や戦争で悲しみ苦しむ人々のことも忘れず、心を寄せてほしいと思います。いろんな出来事の陰で困っていたり足掻いていたり、声をあげている人がいます。そのような人と一緒に考え、側に立てる人になってください。

寮下宿の管理人の皆さま。子どもたちの生活だけではなく、時に厳しく、そして愛情を持って子ども達の成長を支えてくださりありがとうございました。

そして保護者・関係者の皆さま。毎日ご自宅から送り出してこられた方も、遠くに子供を送り出していた方も、一回りも二回りも成長した子どもの姿に喜びもひとしおと思います。今日はひとつの節目であり、新たなスタートの日です。この日を迎えられたことを一緒に喜びたいと思います。ご卒業、本当におめでとうございます。今後とも本校の教育にご理解とご支援いただけますよう、お願いを申し上げます。

本日の式にご臨席いただきました来賓の皆様、一緒にこどもたちの卒業を祝ってくださり感謝申し上げます。ありがとうございます。

以上をもちまして、校長の式辞といたします。

2026年37日 北星学園余市高等学校 校長 今堀浩

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