入学前の相談について
入学前の相談について
A.2023年5月1日時点では、全校生が170名で、1年生59名、2年生59名、3年生52名となっています。男女比は、7:3の割合になるのが例年です。
A.本当に様々な経験をしてきた子どもたちが本校にはおります。
小学校や中学校時代に不登校を経験した子どもが全校生の7割程度おり、その大半は大人しいタイプの子どもたちです。また、いわゆる「非行」を経験した子どもが3割程度です。「非行」を経験している子のなかにも、学校に行っていなかった不登校の子がいます。
その他、部活動の特待で高校に入学したもののそこについていけずに居心地が悪くなって転校してくる子もいますし、国公立大や難関私大を目指すような進学校に入学したものの息切れしてしまい学校にいけなくなって入学してくる子もいます。通信制高校に入学したものの自由の中で怠けてしまい、やはり何かに縛られる必要が自分にはあると自覚したり、毎日通う生活の中で友達を作ったり行事を経験したいと転校してくる子、特段そうした経過はないが本校教育をブログなどで見て面白そうだから・・・と入学してくる子どもなど様々です。
年齢もさまざまです。7割が現役生徒ですが、残りは過年度生です。過年度生もそのうち半分が15歳~18歳くらい、もう半分が18歳~22歳といった感じです。
こうした、出身地も年齢も過去の経験もさまざまな生徒達が来ていますので、自分が「うく」ということを感じる子どもはほとんどいません。むしろ、そうしたさまざまな存在が、人間の幅を広げてくれることになります。
私たち大人も、今まで知らなかった世界に触れた時、自分の幅が広がると感じる場合があります。子どもたちも同様で、今までの触れたことのない世界観、価値観をもった人との出会いが幅広さを形成してくれることになります。
A.時間割やカリキュラムの詳細は、本校ホームページの「カリキュラム・時間割」を、その他について詳細は本校ブログ『北星余市は、いま!』をご覧ください。ブログでは、日々の生徒の活動や様子を更新しています。
大まかにお答えしますと、朝9時から朝のホームルームが始まります。出席を取った後、読書時間、放送による礼拝があり、担任からの連絡があってホームルームは終了。その後、9:40から順次授業が開始します。
放課後の時間は、基本的におもいおもいに過ごしています。部活動もあれば、仲間で新たな取り組みとして活動する者もいます。2014年度では花壇を作ったり、農園を作ったり、冬にかまくらをつくったり、、、という感じです。
部活動は一般的に見られる「決まった時間に毎日集まって基礎練習から限界までみっちりやる」という部活は少なく、好きな者が集まれるときに集まって楽しむ、そんな活動形態が多いです。だから、2つも3つも部活に所属している者も多く「今日は、あっちで会議があるから参加できないわ。ごめん!」という会話が飛び交っています。それでも恨みっこなし。それぞれの動きを尊重し合っています。こういう雰囲気の中で、たくさんの人と機会に触れることで、いろいろな種類の経験ができるというメリット、その中で自分に合ったものを探すことができます。最初はいろいろなところに顔を出していた子が、1年も経って自分の打ち込みたいものを見つけ出す子もいれば、いろいろなことに関わるのが好きで3年間そうして過ごす子もいます。
また、特に行事と行事の間には、生徒会が放課後企画を組んで「◯◯大会」と銘打って、クラス、学年の垣根を越えた形で集って楽しむ様子が伺えます。ミニバレーボール大会から、視聴覚室の大きなスクリーンを使ってのゲーム大会まで様々です。こういうときに普段関わりのない人間とのコミュニケーションが生まれることも多々あります。
A.本校の教科教育に対する考え方は、「教科指導」をご覧ください。
私たちがよく受ける質問に「今まで勉強をしてこなかった子どもがついていけるのでしょうか」というものがあります。
答えは「大丈夫」です。
小学校中学年から学校に行かなくなり、勉強から離れてしまったという子もいます。数学分野でいえば九九や分数の足し算、英語で言えばapple(リンゴ)やbook(本)が書けない子、人によってはアルファベットからスタートする子も入学しています。その中には、LDという発達障害の一種と診断された経験のある子もいます。
しかし、そうした生徒たちも含め、周りが勉強する姿勢につられて勉強をしたり、できるようになる経験を通じて、自信を持ち、少しずつ「できない!嫌い!」という気持ちが消えていくようです。
なにより、北星余市では「勉強がその人の価値を決める」という雰囲気がない、それが子どもたちに良い影響を及ぼしていると思います。
絵が上手、運動神経がいい、頭の回転が良く機転が利く、人の困りをさりげなく察知し手を差し伸べる優しさがある、「勉強ができる」ということは、そのようなものの中の一つと同列にすぎないという雰囲気があります。
人は、認められ、褒められれば、自信がつきます。人は、困難を誰かに支えられてでも乗り越えられると、自信がつき、人のありがたさを感じられるようになります。
自分の良いところに自信がつきそこが伸びたり「自分はなにもない人間だ」「できない人間だ」「価値のない人間だ」などというプレッシャーから解き放たれることで、全てにおいてプラスのサイクルに回り出すことがあります。
勉強もそうした中で少しずつ取り組み出すようになり、楽しさを感じたり、必要性を感じたりするなかで、できるようになっていきます。
一方、教科教育の指導についても、少し工夫をこらすようにしています。それについては、冒頭で紹介した「教科指導」をご覧ください。
A.このような疑問を持たれる方には、「高校生なのに中学の勉強もできていない」という点を心配されている方が多いように思います。また「子どもには将来大学にいってほしいのに、こんなこともできなくて大丈夫なんだろうか」と心配されている場合も多いです。「これで、この子の将来は大丈夫なのだろうか」という心配です。
前者の場合をもう少し分けると、「これで高校に入ってついていけるのか?」という心配と「こんなこともできずに社会で生きていけるのか?」という心配に大方分かれるような気がします。
ついていけるかどうかは、本校においては心配無用といっても過言ではありません。「教科面でついていけず留年した」という子は皆無に近いです。
社会で生きていけるかどうかは、これも心配無用です。誤解を恐れずに申し上げると、本校卒業生でも、恥ずかしい思いをしたということはあっても、教科の知識がなかったから生きていけないという子は聞いたことがありません。
大学受験や大学生活を考えて、現状を憂いていらっしゃる場合に気になるのが、現状から大学生活を困難なく送れるようになるほど、勉強の力がつくのか?という点でしょう。
全員に遅れを取り戻させられているかといえば、本校の教科教育の現状では達成できていない面もあります(現在、鋭意改善中です)。本校卒業後に「勉強で苦労をした」という卒業生は、実は多くいます。しかし、これもまた、勉強がついていけないから「大学を辞めた」という声は、ほとんど聞きません。また、国公立大学や難関私大といわれるような大学受験を希望する子は、本校の授業だけでは試験に合格するような取り戻し・追いつきができず、自分で塾に通ったり、卒業後1年間予備校に通って合格するなどの努力が別で必要になってきたりします。しかし、そうした努力で難関大といわれる大学に合格していく子もまた多くいます。
「必要は発明の母」という言葉あるように、必要性を感じた時に人はそういう力を身につけるように努力するものです。上記に共通していることは、その必要性を感じた時に動けるだけの力をつけた結果だと思っています。
私たちは、土台となる本当に基礎基本的な教科の知識をつけること(中学校卒業程度)、学ぶということの楽しさを知ること、一方で学ぶ時の苦しみに向かい合う力、根気、それを支える動機をつけてあげることが、まず大切だと思っています。そして、それらを育むための土台(「どんな勉強をするのか」を参考にしてください)を作ることが先決だと思っています。そして、それらが出来上がれば、あとは「必要は発明の母」に任せて、必要性を感じた時にサポートしてあげる。これで「遅れた学力」を取り戻すことは叶います。
しかし、正直申し上げると、必ずしも全員がそうなるか・・・と言われるとそうでもありませんし、誤解を恐れずに申し上げると、この3年間で全員が遅れを取り戻す必要があるとも思っていません。「必要は発明の母」ですから、必要性を感じていない子に「しなければならないこと」として押し付けることは、大方定期試験のための知識でしかなく(そういったことも一面大切ですが)、定着しないことも多くあります。本当に必要だと思った時に動けるだけの土台を用意してあげることがなにより大切だと思っています。
A.本校で生活している子どもたちがどのような感想を抱いているかは、本校ホームページ内の「生徒の声」をご覧ください。
「卒業生からのメッセージ」でも、お伝えしています。
また、通っている生徒たちが今どのように感じているかだけでなく、それを経験した子どもたちが社会に出て振り返りどのように感じているかも、私たちは重要だと思っています。それは、教育という営みは、今を通じて子どもたちの未来を創るきっかけをつくり、大きな影響を与えていると考えているからです。そのようなことを知りたいと思われる方は、下記の書籍をご覧ください。20年ほど前に出版された書籍から、2014年の50周年記念で発行された書籍まで幅広く揃っています。
出版物・DVD
「居場所 ~「変わる」の法則~」のご紹介
「しょげてんな!!」のご紹介
「居場所 〜「変わる」の法則〜」は寄贈しています。お求めの方は入試担当まで、ご連絡ください。
A.学校に通うにあたって必要な費用は、本校ホームページ「入学金・授業料・諸費」にまとめてあります。お手数ですが、そちらをご覧ください。
A.帰省の際の費用がかかります。道外からの入学生は、飛行機を使う場合、早割やLCCの利用などで工夫をされたり、フェリーを使うなどして費用を抑える工夫をされています。
思わぬ出費となるのは、謹慎に入るような事態になった場合です。地元に帰ることが基本となり、また父母召喚といって保護者の方が学校に来ていただく必要が生じますので、この時の交通費は結構な負担になると思われます。そういうことのないように、お子さんともお話をしてもらいたいと思います。
その他は、ほぼご自宅にいても必要になってくるものが多いです。まず、毎月の携帯電話代やお小遣いがあります。これは、在校生の父母にアンケートをとってみたのですが、本当に様々です。必要な時に必要な金額を渡しているご家庭もあれば、月3000円ただし飲み物や夜食、シャンプーやティッシュなどの日用品は実家からお母さんが送ってくれているという家庭もあれば、週に2000円で携帯代は別だとか、携帯代金込で15000円という家庭もあります。その他、洋服代や床屋代、友達と遊びに行く時の交通費・食事代などです。
こうしたことは、本校の場合、PTA活動が盛んですので、入学後先輩PTAに相談されるか、入学前であれば教育相談会に来ているPTAに質問すると生の声がきけます。
A.本校が運営しているのではなく、一般町民の方が開いて下さっています。各寮下宿には管理人さんがいます。規模の大小はありますが、町民の方のお宅にホームステイするような形です。学校としては「指定寮」という認定をしており、原則、本校生徒以外の寄宿は認めておりません。
寮下宿は町内に男子11軒、女子5軒ございます。(2023年5月時点)寮下宿の取り決めがどうなっているのか、どんな寮下宿かといったことは、「寮下宿代金」の各寮下宿の詳細欄をご覧ください。
コメント欄に掲載されている内容から、管理人さんがどんな人柄なのかもうかがい知ることができるかと思います。
もう少し詳しく知りたいということであれば、学校にお問い合わせください。
管理人さんたちは皆さん良い方ばかりであるということは共通していますが、それぞれキャラクターがあります。皆さん、子どもたちのことをよく見て、考えてくれます。部屋と食事を提供することだけではなく、生活全般を私たちと共に見守り、支えてくれる力強いパートナーです。
こちらも「寮下宿一覧」の各寮下宿の詳細欄をご覧ください。
寮費自体は概ね70000円前後が相場となっています。寮費には3食光熱費が含まれています。
北海道は冬にストーブを焚くことになりますので、秋(10月頃)から春(3月頃)までは別途暖房費がかかります。4000円程度です。
また、洗濯機をまわすのに1回100円かかるところとかからないところもあったりします。
これらは寮下宿によって違いますので、正確なことは上記ページでご確認ください。
A.放ったらかし…なんてことはしません。例えば、体調不良や悩み事、欠席、遅刻、早退が度々あるといった個人的な問題から、クラスや寮下宿でのトラブルまで、色々なことが起こりえます。
一人で解決できることまで、とやかく介入したりはしませんが、様子がおかしいことが続いたり、周りの友達や先輩、または本人の申し出から何かを抱えていると知った時には、もちろん声をかけたり、相談に乗ったりします。寮下宿を訪問したり、放課後の職員室の個室で相談したり、ドライブをしながら話したり、場面は様々です。
一方、もちろん、そうしたサポートも大切ですが、私たちはそうした「教師対生徒」の一対一の関係よりも、実は全体の中で一人ひとりを見守ることを大切にしています。簡単に言えば、多くの関わりのある人間で支え合うということです。例えば、子どもを支える大人は教師だけではありません。親御さんだって、寮下宿の管理人さんだっています。子どもに限らず、人は自分に合った人に相談することが望ましいです。だから、教師には相談しにくいけれど管理人さんには相談したいこと、親御さんには相談しにくいけど教師には相談できること、そんな場面が生まれたりします。
大切なことは、そうした場面が生じたときに、我々大人がお互いに子どもの様子を連絡しあい、把握しあい、信頼関係を持って子どもたちに向き合えるかということです。そのため、学校であったこと、寮下宿であったこと、親御さんに電話で漏らしていたことなどを連絡しあって情報共有をしながら、また役割分担をしながら、子どもたちを支える体制を作りたいと考えています。
また、そうした「大人が子どもを支える」という体制だけでなく、子ども同士が支え合うという体制も必要です。
過去には同じ悩みを抱えていたがそれを乗り越えた先輩、同学年の中でついこの前まで同じような状態にあったがそれを乗り越えた仲間、経験をしてはいないが話を聞き一緒に頭を悩ます仲間が支えてくれるというのもとても大切です。もちろん、そうした様子を我々大人が把握しておくことが大切ですが、実は知らないうちにそうして悩みを解決したという話を後で知ることもままあります。
一般的な学校では、先輩との付き合いは部活動においてのみだとか、同級生との付き合いも学校内のみで、それでは信頼関係がそれほど深くできず、悩みを打ち明けるなんて難しい関係性である場合も少なくないと思いますが、その点、本校では学校が終わっても、放課後の活動や、生活の場である寮下宿でも関わりがあり、文字通り寝食を共にする関係をもつため、そうした関係性を築けることが多いのです。
全ての寮下宿が個室となっていますので、自宅の一室があるようなイメージを持ってもらえたらと思います。自分の時間をしっかりと持ちたいということも可能ですし、寮下宿内の友達が部屋に来て一緒に遊ぶといった寮下宿ならではの時間を過ごすこともあります。
A.寮下宿は学校が運営しているのではなく、その管理人さんが運営しています。寮下宿内の規則は寮ごとに違っていて、お風呂の時間やその割り振り、冷蔵庫の使い方、食事の時間帯なども様々です。詳しくは寮下宿の管理人さんに確認していただきたいと思います。
そのように寮下宿ごとのルールがある一方、学校との話し合いで全体で取り決めていることもあります。門限は21時か21時半となっております。
また消灯時間が23時から0時の間に設定されています。いずれを選択するかは、寮下宿の判断によります。
A.「寮下宿一覧」の各寮下宿の詳細欄をご覧ください。
平日は朝食、夕食が用意され、昼食はお弁当をもたせてくれます。
土日の朝食については下宿によって違いがあり、いわゆるブランチ形式の下宿などもあります。
食事内容については、管理人さんに直接ご確認ください。ホームページを開設している下宿では、食事内容を掲載しているところもあります。
A.夏は自転車があるので問題はないのですが、冬となると雪が積もり乗ることができなくなります。
半分以上の下宿が徒歩10分から20分圏内のところにありますが、そういった下宿は基本的に徒歩となることが多いです。
それ以上離れた寮下宿では、送迎があることが多いです。送迎のルールも寮下宿によって違い、都度迎えに来てくれるところもあれば、時間を決めたり数人まとまったら連絡して迎えに来てもらうところもあります。
A.詳細は寮の管理人さんと打ち合わせをしていただきたいと思いますが、新年度の入学にあたっては、概ね入学式の前日に余市に入っていただいて準備されている方が多い様です。
A.寮下宿によって様々ですが、基本的には何もない状態のお部屋を貸してもらうと思ってください。
テレビや衣類ケース、ベッドなどの家具から、洗面道具やお風呂道具、ティッシュなど日常的に使うものまで各自準備すると思っていただくことが良いです。ただ、寮によっては、ベッドが備え付られていたりする場合もあるので、準備する前に管理人さんに聞いてみることが良いと思います。
A.余市に来るにあたっては、当座必要な数日分の洋服などを持参する方が多いです。基本的には余市町内のお店で生活に必要な物を揃えることができます。購入にあたっては、ホームセンター貸出の軽トラックを利用される方、レンタカーやタクシーを使われる方、配達を申し込む方など様々です。大型のもの(ふとんやテレビなど)は、ご自宅にある物を後日郵送される方もいらっしゃいますが、町内のホームセンターや家電量販店などで購入される方が多いです。夏休みや冬休み等の長期休暇の際には、ご自宅でも必要になるからです。生活日用品もドラッグストアーなどがあり揃えられます。
なお、ベッド等備え付けの物がある場合もありますので、事前に寮下宿に確認することが良いと思います。
A.見学をする場合は、1軒につき、さっと見たい方で30分、じっくり質問もしたい方で1時間程度(移動時間含む)を考えたらよろしいかと思います。多くの方は、2軒から3軒程度見学されます。
A.いくつかの方法がありますが、大きく分けて2つの方法に分かれます。
【ホームページ掲載情報をもとに絞り込む場合】
冊子、本校ホームページ、寮下宿のリンクページに載っている詳細情報や各寮下宿のホームページをもとに、自分の希望にあったところを選んでいらっしゃるようです。
【本校教員との面談で絞り込む場合】
学校見学や面接でお越しになった際に、担当の教員と面談する中で絞り込んでいきます。人数や雰囲気の希望、寮下宿パンフレットの情報、現在の空き状況や寮下宿の生活状況、お子さんの雰囲気に合わせて、いくつか絞り込んでご紹介します。この場合、寮下宿見学の連絡は学校からいたします。
A.私たちには「頑張りたいと思う子にはチャンスを与えたい」という思いがあります。過去の行いや出来事、選んで来た道によって、未来が閉ざされることは子どもたちにとって不幸です。
色々回り道をしても「がんばりたい」と思った時に、頑張って欲しいと思っています。従って、基本的には頑張りたいという子どもたちは受け入れたいと考えています。
しかし、学校という場所はどうしても集団での生活があり、人が集まれば一定のルールが必要になってきます。私たちのそれは「人の気持ちを考える」だとか「人には迷惑をかけない」とかそうった最低限のルールですが、それが守れないような状態の子は、遠慮してもらいます。
また、学校は教育の場ですが、あまりにも体調が悪く学校生活を送ることができないような状態の子も、まずは教育の場より、医療の場で治療して、元気になってから来るように伝えることもあります。
稀に、親御さんの気持ちがはやり、実は本人はまったく本校に入学を希望していないという場合もあります。本人の気持ちがない状態で入学しても良いことにならない事例が多いので、そうした場合も率直に相談させてもらいます。
また、2001年に薬物問題を経験した我々は薬物の怖さもよく知っています。薬物に対して現在も使用中であったり、薬物に対する意識の薄さ、肯定感などがある場合も、不合格となる場合があります。それは入学後の私たちがその子たちに対して行う薬物に関しての指導に、そうした意識ではついてくることができないこと、ときに違法薬物を学校に持ち込むことにつながるからです。
上記のような幾つかの場合、合格に至らないこともままありますが、いずれのケースも、それで一生お断りという意味ではありません。来年、再来年、また本人の気持ちや状態が整ったら、私たちはいつでもチャレンジしてもらいたいと考えています。
A.入学にあたって必要な学力というのは、特段存在していません。
一方、学力ではありませんが、コミュニケーションが取れないのは少し厳しい面があります。学校見学や面接試験の段階で、こちらの質問の意図が理解できなかったり、質問に対する答えになっていない場合などです。
それは「心を閉ざしている」という場合と「理解できていない」場合とがあります。そこらへんの区別は、私たちはある程度つけることができます。両方とも程度によりますが、あまりにもコミュニケーションが取れない場合は、相談の上、不合格となることもあります。
A.もちろんできます。高校を一度中退したからといって、もうその子には高校を受験する資格はないとは考えません。そうした経験をした子にも、再び頑張りたいという気持ちを叶え、高校生活を送ってほしいと思っています。
生きていると望ましい出来事ばかりではありません。大切なことは、その望ましくない出来事を経験した後の行動です。後の行動によって、それが失敗にもなり、成功にもなります。「高校中退」自体は決して失敗ではありません。その経験をどのように捉え、考え、次につなげるか、大切なのはそういうことであり、それを踏まえて北星余市で高校生活を送り、「高校中退」という経験を「あれがあったから、今の自分がある」と語れるものにしてきた子どもたちを、私たちはたくさん見てきています。「高校中退したけれど、もう一度、高校生活を送りたい」その気持ち、大歓迎です。
A.単位数や欠席日数などの条件はありますが、原則、希望する子どもは受け入れたいと考えています。
欠席日数や修得した単位数などの詳細条件は、時期やどういった高校に在籍しているか(例:通信制や定時制や全日制の別、普通科や職業科などの別)などの要素によって一概には言えないため、お手数ですが0135-23-2165/入試担当までお問い合わせください。丁寧にご説明差し上げます。
毎年、4月の新年度が始まった直後から、年度途中の転入を受け入れています。終わりは「3学期の始業式を迎えるまでに受験を済ませること」としています。
年度途中の転入受入れの期限を過ぎた後は、新年度からの登校を目指しての受験となります。
また、この転入についても他の試験同様、特段、現在籍高校や過去に何があったかで不合格を判断することはほとんどなく、今、どういう気持ちでいるかということを大切に考えたいと思っています。
A.学校見学の所要時間は概ね1時間程度と思ってください。職員室で軽い面談を行い、校内見学をし、再び戻って面談を行います。
下宿見学をする場合は、1軒につき、さっと見たい方で30分、じっくり質問をしたりしたい方で1時間程度(移動時間含む)を考えたらよろしいかと思います。多くの方は、2軒から3軒程度見学されます。
A.そうした経験のある子どもも受入れています。問題は、過去ではなく、未来に向けてどういう気持ちで過ごしているかです。
しかし、注意しなければならないことがあります。私たちの学校では決して少なくない数の生徒が、休学や退学をしています。誤解を恐れずに申し上げると、実はそのほとんどが非行を経験した子どもであり、表面的には「がんばる」と言っていても、内心は北星余市への入学に不本意である場合です。
特に、鑑別所を経験した子は、地元を離れることを条件に少年院送致を免れることができる場合があります。そうした子は「少年院に入るくらいなら、多少地元を離れることを我慢してでも北海道の高校に行こう。なんとなく雰囲気も自由そうだし」という状態で北星余市の門をたたくことがあります。
また、少年院を経験している子に「地元との交友関係を断つこと」という条件が、仮退院に課せられ、その対策として北星余市を考える場合があります。
いずれの場合も、本当の意味で「このままではいけない」「自分を変えなければならない」「やり直したい」と思えていない場合がままあり、そうした場合は、残念ながら学校が続かないこともあるのです。
私たちは子どもたちの未来を追求する営みを行っているので、その子の問題性に向き合います。
それはおせっかいであり、うるさいことです。大人だってそうですが、誰だって、人に自分の問題を指摘されることは嫌なことです。まして、反抗心の強い思春期の子どもはなおさらですし、「このままではいけない」と思えていない場合は、余計なお世話以外の何物でもないと子どもが捉えてしまう場合があります。そうすると、学校生活がままならなくなってくるのです。
もちろん、そうした子たちばかりではありません。入学時に「このままではいけない」と本気で思えていなくても、友達ができたり、先生や先輩たちが問題が起こるたびに向き合う中で気持ちが変わっていく子も多くいます。むしろ、そういう子がほとんどかもしれません。しかし、明らかに冒頭に述べた通り、「損か得か」というレベルで選んだ子は、続かないことも多いのです。
A.放ったらかし・・・なんてことはしません。例えば、体調不良や悩み事、欠席、遅刻、早退が度々あるといった個人的な問題から、クラスや下宿でのトラブルまで、色々なことが起こりえます。
一人で解決できることまで、とやかく介入したりはしませんが、様子がおかしいことが続いたり、周りの友達や先輩、または本人の申し出から、何かを抱えていると知った時には、もちろん声をかけたり、相談に乗ったりします。
下宿を訪問したり、放課後の職員室の個室で相談したり、ドライブをしながら話したり、場面は様々です。
一方、もちろん、そうしたサポートも大切ですが、私たちはそうした「教師対生徒」の一対一の関係よりも、実は全体の中で一人ひとりを見守ることを大切にしています。簡単に言えば、多くの関わりのある人間で支え合うということです。
例えば、子どもを支える大人は教師だけではありません。親御さんだって、下宿の管理人さんだっています。子どもに限らず、人は自分に合った人に相談することが望ましいです。だから、教師には相談しにくいけれど管理人さんには相談したいこと、親御さんには相談しにくいけど教師には相談できること、そんな場面が生まれたりします。大切なことは、そうした場面が生じたときに、我々大人がお互いに子どもの様子を連絡しあい、把握しあい、信頼関係を持って子どもたちに向き合えるかということです。そのため、学校であったこと、下宿であったこと、親御さんに電話で漏らしていたことなどを連絡しあって情報共有をしながら、また役割分担をしながら、子どもたちを支える体制を作りたいと考えています。
また、そうした「大人が子どもを支える」という体制だけでなく、子ども同士が支え合うという体制も必要です。過去には同じ悩みを抱えていたがそれを乗り越えた先輩、同学年の中でついこの前まで同じような状態にあったがそれを乗り越えた仲間、経験をしてはいないが話を聞き一緒に頭を悩ます仲間が支えてくれるというのもとても大切です。もちろん、そうした様子を我々大人が把握しておくことが大切ですが、実は知らないうちにそうして悩みを解決したという話を後で知ることもままあります。
一般的な学校では、先輩との付き合いは部活動においてのみだとか、同級生との付き合いも学校内のみで、それでは信頼関係がそれほど深くできず、悩みを打ち明けるなんて難しい関係性である場合も少なくないと思いますが、その点、本校では学校が終わっても、放課後の活動や、生活の場である下宿でも関わりがあり、文字通り寝食を共にする関係をもつため、そうした関係性を築けることが多いのです。
A.
当然ですが、私たちは高校を卒業しさえすれば良いとは考えていません。教育は未来を紡ぐための営みでもあるので、当然、その後につなげることは大切なことだと考えています。
本校の卒業後の進路は、四年制大学が約30%、短大・専門学校で約40%、就職が約15%となっています。ここ10年くらい変わらない比率になっています。残りの15%はその枠に収まらないものであったり、いわゆる進路未決定です。
進路未決定者の中には、私たちの教育力不足で実行にうつせず何も決められない状態で卒業する子が、数人います。しかし、例えば、高校卒業後すぐに海外に語学留学する子がいたり、予備校に通って大学受験に備える者もいたり、1年間ほどアルバイトしながら自活をしつつお金をためて入学金くらいは自分で貯めてから大学に行きたいと考えているという子がいます。そのように枠に収まらないが積極的進路未決定ともいえる者がいます。
その他、進路に対する考え方は、「進路指導」をご覧ください。
A.できます。担任に許可を得て、がんばって働いてください。「担任の許可」といっても、基本的にはアルバイトをすることは良いことだと考えています。自分の小遣いや携帯代金、帰省費用くらいは自分で稼いで、少しでも親御さんの苦労を軽くしたり、親御さんの苦労を感じたりすることは、他者理解につながる大切なことです。
ただ、現実は厳しい面もあります。
まず、してはならないアルバイトというのがあります。高校生が立ち入ってはならない場所やお酒の出る場所などは禁止しています。また、寮には門限がありますので、その門限を超えたアルバイトは禁止です。
担任からの許可が下りない場合もあります。例えば、遅刻が多かったり、欠席がちだったりする場合、まずはアルバイトをするより学校生活を成り立たせることが先決だと考えます。アルバイトを許可して働き始めてからも、疲れから授業中に居眠りが生じたり、遅刻気味になったり、学校生活に影響が出てくるようであれば、途中から禁止することもあります。
また、余市町は人口2万人程度の小さな町ですので、求人がそう多くはないのが現状です。しかも、夏休み、冬休みなどの長期休暇は、原則、地元に帰省しなければならないため、雇用される側も遠慮されることが多い様です。一方、余市町は春から秋にかけて、果樹や農業の盛んな町ですので、週末や早朝の期間限定のアルバイトなどの機会を与えてもらう生徒もいます。地域の方とのつながりがある下宿の管理人さんや、先輩たちから紹介されるようです。
一番多いのが、長期休暇中に地元や住み込みでアルバイトを探して短期集中で稼いでくる子です。夏休み明けに「久しぶり!何やって過ごしてた?」と聞いたら「もう、毎日朝から仕事だったよ!学校に来てる方がいいわ!!」とたくましい経験をする子も少なくありません。
A.
2020年度より「条件付き許可制」をとり、免許の取得を認めています。
北星余市は、2019年度までは自動二輪(バイク)の免許取得は認めていませんでした。自動車の免許についても「3年生への本進級が決まった後、担任の許可を得ること」を条件としていました。
2020年度より「免許取得の時期は指定せず、条件付きの許可制」としました。その条件とは「保護者に承諾書を提出してもらう」ことと「運転できる期間と場所を限定する」ことの2点を守ってもらうことです。
1970年代から1990年頃まで「3無い運動」(地域により違いはありますが「車に乗らない」「免許を取らない」「車に乗せてもらわない」というもの)という考え方が社会で広く認知されていました。その流れが今でも多くの学校に残っているのですが、私たちの学校でもその考え方で来ていました。また30年ほど前にもなりますが、隠れて運転する生徒が事故を起こすことがあり、せっかく自らの人生を考え学校生活を送ろうと入学したのに、事故のせいで学校を続けられなくなったりすることもありました。
しかし、本来、免許というのは資格でもあります。その資格取得を学校として制限することが果たして正しいのかどうかを会議で検討しました。その中で、きちんと親子で話し合ってもらうことや学校生活を大切にしていくことを確認しながら、免許取得を認める方向に動くこととしました。
ただし、自動車等の運転に関しては登校期間中や補習などで残らなければならない時期、および余市町内への乗り入れは認めていません。また、無断で免許を取得したり、道路交通法に違反した場合は処分対象となります。
きちんとルールを守って免許を取得することで、社会のルールを学んでもらう機会としたいと考えています。
A.統計が取れないので感覚的なものですが、受験の段階で「発達障害と診断された」「発達障害の可能性があると言われた」という方は、3割程度います。
しかし、私たちは、この「発達障害」というもの自体が非常に複雑なものであり、そのような診断を受けたから、または可能性があると言われたからといって、額面通りに捉えて良いほど単純なものではないと考えています。したがって、そもそもこの3割が全て発達障害とも思えていません。
「おちつきがない」とADHD、「授業が理解できない」とLD、「こだわりがつよい」と高機能自閉症と診断されたり、可能性があるといわれる傾向がありますが、学校生活を送るに連れ、実はそれが障害ではなく育ちや環境の問題であったと知ることになるケースもあります。しかし、間違いなく発達障害といえる子もいます。つまり、一般的にいう発達障害ものには、実体として複雑なことが様々に絡み合っているのです。そのため、一概に大丈夫とか大丈夫でないとはいえません。
「トラブルがあるかどうか」という点でいえばありますが、その原因は必ずしも障害によるものでないこともあります。明らかに障害の特性からくるものと見れる場合もあれば、この程度のことであれば人と人が集まれば起こり得るものと見れる場合もあったり、そのボーダーともとれる場合もあったり、難しい面があります。
とはいえ、いわゆる「トラブル」の多くは、誤解や経験不足から生じることが多いです。私たちは、そうしたことを通じて学ぶことも教育の大切な役割の一つと考えていますから、丁寧に紐解くような対応を心がけるようにしています。
「そうした特性を持った子が受け入れてもらえるか、バカにされたりしないか」といった点では、それは決してあってはならないことだと考えていますので、私たちは特に気をつけて見ています。そうした特性によって全体に迷惑がかかってしまうことやコミュニケーションをとる中で他人に不快を感じさせる場面がないとはいえませんが、だからといってその人の人格や存在を否定するような行為は許されないことです。「迷惑や不快なことをどうすればよいか」ということと、「人格否定」は別の事柄です。迷惑なことは、弱点や未熟さとして捉え、それはそれでどうしたら良いのかを考えていくべきです。そして、そうした弱点を抱えているからといって、他人の人格を否定することは、自らの存在をも否定することにつながります。弱点や未熟さは、誰もが多かれ少なかれ抱えていますから、実はお互い様なのです。私たちはそうした姿勢で臨んでいますが、子どもたちもよくそれを理解してくれます。
最後に、発達障害を抱えているといわれる子のほとんどが卒業をしていく中で、それでも休学や退学になりやすい子どもがいるとすれば、それは比較的意思疎通が難しい子、相手の気持ちを理解するという力が足りない子、自分の殻に閉じこもってしまい他人を受け入れられる状態にない子です。
そうした子たちは、私たちや寮の管理人さん、下宿の仲間や先輩の声に耳を傾けることができず、善意で動いている我々の言動を悪意として受け取ってしまう場合があります。悪意として受け取ってしまうのですから、当然、その子は私たちに対して良い感情を持たず、学校生活に気持ちが向かなくなり、良くないスパイラルに入っていくことになります。
いずれにしても、もし、その点が心配でしたら、受験前や面接段階で率直にご相談いただければと思います。一緒に考えることができたら幸いです。
A.部屋から出られない、朝起きられない、そうした理由で学校に通えずに、休学や退学をする子どもは、ほとんどいません。年に1人いるかいないかといった感じです。
よく「中学校時代に学校すら通えない子どもが、寮生活なんてとんでもない」と敬遠される親御さんがいらっしゃるのですが(その気持ちはとてもよくわかります)、実はこの寮生活があるからほとんどいないという状態を作り出せているといっても過言ではありません。
人間には天使と悪魔がいます。
「がんばらなければ!」と思っていても、ついつい「これくらい・・・」と甘えてしまう気持ちも出てくる。年度途中に転校してくる子どもの中には、毎年必ずと言っていいほど、その悪魔に負けてしまった子がいます。「どうして北星余市を受験しようと思ったの?」と質問すると「家にいると甘えてしまうから」というのです。よくよく聞くと、1日くらい休んでも大丈夫と思って休み始めたのがきっかけで、1週間に1日が、3日に1日、2日に1日、そのうち行きづらくなったり、欠席時間数がかさんで単位が取れない状態になったというのです。また、共働きの両親を持つ子どもなどに多いのが、両親が子どもの登校時間より早く出勤してしまう場合、気が付いたら子どもは学校に行っていなかったというパターンです。
北星余市では、まず、寮の管理人さんが起こしてくれます。起きない場合も、「ほれ、遅刻するよ!」といって起こしてくれます。そして、寮の仲間がまた起こしてくれたりします。寮の仲間が、みんな学校にいくので自分もそれにつられて学校に行けるようになります。学校には「行きたくない」理由はほとんどないし、本来「がんばらなければ」と思っているので、そうした雰囲気が後押ししてくれます。
本校でも、自宅から通っている子が遅刻気味になったり、欠席がかさむことはよくあることです。そうした場合、自宅から通える環境であっても、親御さんや本人と話し合って、寮生活を送るように指導することがあるくらいです。
A.本校に入学する以前、昼夜逆転をしたり、ゲームに依存したり…そういう子は多くいます。しかし、学校に通えないという生徒がほぼいないことからして、ほとんどの生徒がリズムを一定に保ちながら生活していることが伺えます。
朝、管理人さんに起こしてもらってから朝食があり、9時から夕方までの学校生活があり、夕食も一定の時間に決まっていて、門限があって、消灯時間も決まっているので、リズムを作りやすいのでしょう。
とはいえ、入学以前の状態を引きずったり、学校生活を送る中で途中元に戻ってしまう子も稀にいます。そうなる前に、担任を中心とした私たち教員や寮の管理人さんが見るようにはしていますが、本格化してしまう場合もあります。そうした場合、教員と管理人さんで話し合いを持って対策を練ったり、親御さんとも対策を練ったりします。本人も交えて話し合うことがあったり、場合によっては本人には有無を言わせず対策を講じることもあります。
A.当然ですが、必ず卒業できるとはいえません。一定の割合で休学する子、退学する子がいます。
具体的な数字については、本校の教員に直接お聞きいただきたいと思います。
A.体調が優れなかったり、入学前に精神疾患を患っておりそれが学校生活に支障をきたして、休学する子もいます。私たちは、それは仕方のないことであり、病気になったことでの休学・退学を大きく悔やむ必要はないと考えます。人生は長いですから、そういう時期があっても大丈夫。まずは、ゆっくり休んで体調を整えることが先決です。平たく言って、教育の場が成長をする場だとすれば、医療の場は元気を取り戻す場です。実際に、年に1人くらいは不本意にも体調不良に陥り休学する子がいます。体調が回復できたら、復学し、また学校生活を楽しむ子がほとんどです。
一方、そういう理由でなく、休学・退学する子がいます。
私たちからすると「まだその時期ではなかった」と思える子です。
人は、その場所に行ったから、劇的に何かが変わるわけではありません。
場所はもちろん一つの要素ですが、そこで出会う人との関わり、起きる出来事での経験、そこで自分と向き合い、考え、行動し、そこで感じ学んだ事柄で変わっていきます。それを受け止める素地がまだ整っていない状態で、北星余市に入学することは、それらを受け止めきれずに消化不良のような状態を引き起こします。
例えば、不登校を経験しているおとなしいタイプの子どもに多いのが、下記のような場合です。
2~3年に1人いるかいないかですが、このような状態で入学をした子は休学や退学をする傾向があります。
当初、そのような状態であった子どもでも、大半は、友達(寮の仲間、クラスの仲間)、先輩、寮の管理人さん、教員などの働きかけでそれが徐々に改善され、学校生活に慣れていくのですが、極度に上記のような気持ちを抱えている子は、そういう働きかけにもシャッターを閉じ、心を開かない場合があります。私たちの経験では、大抵そういう子は入試の面接段階で「はい」か「いいえ」かしか答えない子に多いです(だからといって、「はい」か「いいえ」かしか答えない子がみなそうなるかというとそうでもありません)。そこらへんの見極めについては、お電話や教育相談会、学校見学時などに本校教員にお尋ねいただければ、一緒に考えることができます。
また、比較的元気でヤンチャ気味な子どもも、このままでいけないと思えていなかったり、地元にいたいと思っているような状態の場合、続かないことがままあります。北星余市では「成長して欲しい」という気持ちがあるので、子どもたちが弱点を抱えていたり、失敗したりした場合、それを見過ごさないようにします。子どもたちに改善点を指摘し、向き合うように指導します。このとき「このままではいけない」と思えていないと、「なんで、そんなことをいわれなきゃいけないのだ」とか「俺の考えは間違っていない!」という状態になります。当然、人には考え方がありますし、その行為が正しいと考えているから行動している場合が多いので、「これの何がいけないのだ?」と主張することはあります。それ自体はあっていいことですし、むしろ考えるには必要なことです。しかし、何がいけないかを共に考えたり、教員から考え方を伝えた時に、「自分を成長させよう」「自分の問題点は見つめよう」という姿勢がないと「いちいちうるさいな」という具合で、私たちの話を受け入れる体制自体が整っていなく、共に考えたり、考え方を受け入れる余地がない場合があるのです。そうすると、いられない状態となるわけです。
また、子ども特有の「根拠のない万能感」が未だある場合もそうなることが多いかもしれません。「俺はアルバイトをして一人暮らしをする」「友達が毎月大金を稼いでいて、俺も誘われているから、その道でやっていく」などの発言にそれが見受けられます。
本校には、いわゆる「大人不信」「教師不信」の状態で入学してくる子どもも多くいますから、入学したばかりの頃などは特に、内心、自分の何が問題かをわかっていても、我々からの指摘を受け止められずに反抗してくる子どもがいます。そういう子は比較的問題ありません。なぜなら、私たちの話には心を開けなくても、周りの友達や先輩、寮の管理人さんなどが、同じ方向でものを語ってくれる場合が多いからです。友達や先輩などが「うーん、、、俺も1年生の時はそうだったから、お前の気持ちわかるけど、でも、お前が間違っていると思うよ。なぜなら・・・」という形で語ってくれる場面などがあったとき、すーっとその事の意味が心に入っていくことがある。「わかっているけど、反抗する」のと「このままの自分で問題ない」「自分の考え方は絶対的にあっている」「人など関係ない」という状態の子は決定的に違うわけです。
以上のように見てきたときに、休学や退学になる子どもの多くに共通していることは、おとなしくても元気でも、「このままの自分で問題ない」「自分の考え方は絶対的にあっている」「人など関係ない」という状態の子どもだと思います。
「そういう状態の子どもがなぜ入学するの?そもそも変わる気がないなら入学しないのではないの?」と思われるかもしれませんが、
などの場合、本人に高校に通う動機がなくても入学するだけのきっかけを与えることがあるのです。
A.入学試験のときは、みんな「自分を変えたい」「成長したい」といいます。しかし、入学後に様々な場面を通じて「本当はどうして北星余市に来たの?」というところを聞くと、実に様々な状況が浮かび上がってきます。
統計をとったことはありませんが、積極的に「自分を変えたい」と本気で思って入学してくる子どもは4割~5割程度でしょうか。2割~3割程度が「まぁ、高卒の資格くらいは必要だし・・・」とか「嫌だけど、環境を変えないと自分が変われないと思うし・・・」という消極的ではありますが自発的意思に基づいて入学してくる子です。そういう状態の子は、たいてい日々成長し、学校生活全体的に徐々に積極的になり、卒業まで頑張れています。
A.まず「入学するかしないか」ではなく、現状を変え、自分を成長させようとする意思があるかないかを見てあげてほしいと思います。その観点で、お子さんの状態を見極めることが大切だと思います。
子どもは生きているので、もちろん一人ひとり考えています。不登校の状態で、家にこもってゲームばかりしているように見えても、不安で仕方がない子も多く、友達の家や夜の街をほっつき歩いてばかり、遊んでいるようにしか見えず、何も考えていないように見える非行系の子でも、「このままじゃいけないんじゃないか」と考える場面が必ずあります。
「入学の意思がない」「成長しようという意思がない」というものも、表面に現れている現象でしかありません。もう少し、状況を掘り下げてみることが大切だと思います。
端的に言えば「現状のままで良い、これしかない」と思っているか「内心、このままではまずいな」と思っているかです。これによって親としての対応は変わってくると思います。
まず「内心、このままではまずいな」と思っている場合です。実は、多くの子どもがそう思っています。しかし、現状を抜け出す方法がわからない、わかっているけれど挑戦して失敗するのが怖い、挑戦するには親に金銭的な面で負担をかけてしまう、失敗してそれが無駄になってしまったら申し訳ないなど、我々大人と同じように子どもは悩んでいて、「このままではまずい」「だがしかし」とその気持ちを打ち消してしまうことがあります。
そういった場合、子どもたちの中にある「だがしかし」と続く文脈を取り去ってあげることで、素直に「このままではまずいな」と思えるようになれる子が多くいます。
例を一つ挙げますと、金銭的なことを気にしている子には「あんたが成長してくれて、立派になってくれれば、それでいい。大人になってから、あんたに余裕が出来てから恩返ししてくれればいい」「あんたが今の状態でこの先どうなるかわからないまま、ぐるぐると同じところを行ったり来たりしている状態の方が、私たちにとっては迷惑だ。ダメになるかもしれないけれど、チャレンジしてみてくれること、それで今の状況からだしってくれることの方が親としては本当に嬉しいんだよ」と伝えてあげることも大切だと思います。
人は何か新しいことに挑戦するときには、不安が付きまとうものです。失敗しちゃったらどうしよう、現状を抜け出す方法がわからない、などそういった不安に寄り添って想いを伝えてあげることで、勇気を出して立ち上がれる子どもが多くいます。
もし、こういう状態なんですが、なんて声をかけたらいいかわからない・・・という親御さんがいらっしゃるようでしたら、遠慮なく学校(0135-23-2165/入試担当)にお問い合わせ頂ければと思います。一緒になって考えることができたら幸いです。それで苦しんでいる子どもも親御さんも状況変わるかもしれない、一歩前に進めることができるかもしれないのなら、やってみる価値はあると思うのです。
次に「現状のままで良い、これしかない」と思っている子ですが、実はこれも2つあって、積極的に「これでよい」と思っている子と、「本当はよくないけれど、自分にはこれしかない」と思い込んでいる子がいます。
実は前者の積極的に「これでよい」と思っている子に対しては、どうにも対処するのは難しい部分があります。なぜなら、本人が本当にそれが正しいと信じきってしまっているからです。そういう状態の人を変えるというのは、本当に困難を伴うことです。それは大人でもそうです。
では、そういう状態の時は何もできない、何もしないのか・・・というと、それもまた違います。
私たちがお付き合いさせていただいている不登校の親の会の方達には「信じて・任せて・待つ」という言葉があります。
そう、まずは「信じて・任せて・待つ」んです。これは言葉ほど、簡単なことではありません。いつも目についてヒヤヒヤハラハラします。大きなストレスを感じられることと思います。それによって、ひょっとしたら家族内の関係がうまくいかなくなることもあるでしょう。現にそうなってしまうご家庭も多いです。
けれど「この子は必ず変わってくれる、成長してくれる」と信じる事。そして、今やっている行動はそのために必要なことなのだと任せること。そして、子どもに気づきが生まれることを待つことです。まず、これなしには子どもは変わりません。
そして、ただ待っていれば良いかというと、それはそうではないというのが私たちの経験です。ひとつは子どもをよく見て、適切なタイミングで適切な働きかけをする、そういうチャンスをうかがうということです。当たり前ですが、そういう子どもたちだって我々と同じ時間だけ生きているので、日々考えているし、経験も積んでいます。部屋に引きこもっている子どもであっても、外をほっつき歩いて遊んでばかりいる子どもでもです。そういう経験を積んでいるうちに、何かの出来事や人やものとの出会いがあり、少しずつ変化して行っています。
例えば、不登校を経験した子の中には、学校に行かないことを親から理解されず悩み苦しみ反抗し、親御さんが理解を示すようになれるとその苦しみが取れ安心して暮らせるようになる子も多いです。しかし、最初はそれが心地よく感じていても、実はそれも長くは続かず、時間が経つにつれ自宅にいることで人よりどんどん遅れをとっていることに不安を感じ始める子もまた多くいます。その不安を感じ始めた時に、適切な働きかけができるかどうかで、随分と変わるものです。
非行をしている子だって、最初は友達と大人からみれば「バカをやって」楽しんでいる状態がしばらく続きますが、その関係性がずっと続くことは稀です。トラブルに巻き込まれて良い思いをしなかったり、仲間の中にまっとうな世界で生き始める者が出てきたり、そのグループとは違う昔仲よかった人間がどんどん人生を着実に歩んでいく姿を見て焦ったり、そういう中で「このままじゃいけないんじゃないか」と心の片隅にその思いをいだくようになる子も実は多いのです。
なぜ、適切な働きかけが必要かというと、実は心の片隅に「このままじゃいけないんじゃないか」という思いが浮かんだり、それを抱えるような状態になっても、大抵の子はそれを親に言い出せず、その思いに蓋をしてしまうからなんです。
なぜいいだせないか。答えは、人それぞれですが、それは少し考えればわかることです。今まで親に反抗していた人間がどのツラ下げて親にお願いできるか、、、と考える子もいるでしょう。そんな弱みを見せられないという子どもなりのプライドもあるでしょう。自分で選んだ道だから・・・と思っている子もいるでしょう。弱みを見せたら「ほらみたことか、だからあんたは子どもなんだから・・・」とまた親に攻められるかもしれない。一方で、諦めることで蓋を閉めるという子もいます。そういう状態の子には「自分は世の中かから受け入れてもらえない」「自分はもう世間一般のレールから外れてしまっていて戻ることはできない」「自分のようなダメな人間が再チャレンジしたってうまくいきっこない」と強い自己否定をしている者も多くいます。親御さんはじめ、周りの大人に相談する前に、そうして自分の心に蓋をしてしまうことが多くあります。私たちは、その蓋は勿体無いと思います。カタカタと蓋が音を立てている状態を見逃さず、蓋を開ける手を差し伸べてあげることが必要だと思います。
ちなみに、適切な働きかけには、実は普段からの適度な関係性を保つ事が重要だったりします。普段、気にもとめず言葉もかけず放ったらかしな状態にもかかわらず、そのときだけ声をかけても、その思いが届かないことは多くあるでしょう。かといって、普段から口やかましくしていればいいかといえばそうでもありません。不登校にしろ、非行にしろ、子どもがそういう状態になってしまうと、親御さんは当然焦るものです。親もまた心を持った人間ですから、その焦りから自分を守るために、子どもを変えようと口やかましく急かす人もいれば、その焦りを見ないようにして無関心を装うことで心の安定を図ろうとする方もいらっしゃいます。どちらも気持ちはわかりますが、私たちの経験上、実はそのどちらも結果的に良い方向にならないことが多いように思います。やはり、基本的には「信じて・任せて・待つ」という心持ちでありながら、押し付けにならない形で子どものことを思いやってあげること、声をかけてあげること、行動してあげることです。
私たちは全国20箇所で毎年教育講演相談会を行っていますが、そこに来られている親御さんから学ばせてもらったことを紹介します。
その方は「高校くらいはいってほしい」と思っていらっしゃるのですが、決して子どもに「高校に行きなさい」とはいいません。
「行くか行かないかはあなたが決める事。あなたがいかない、いきたくないのなら、それはそれでかまわない。でも、私は経験上行ったほうが良いと思っている。今、あなたは高校に興味はないかもしれない。けれど、いつかどこかで「やっぱり必要かもしれない」と考え方は変わるかもしれない。人って日々考え方は変わるから。私はあなたがそうなったときに、親として助けることができるように世の中にはどんな学校があるのか調べたくて調べている。私がやりたくてやっていること。たくさんある高校の中から、曲がりなりにも10数年共に暮らしてきた親として、今のあなたに会いそうだと思う学校を、あなたが選べるように幾つか用意したいと思って探している。しつこいけど、それはあなたに学校に行きなさいと言っているわけではない。もし、あなたが学校に行きたいと思うようになったときのために動いているだけの話。そして、これは私が勝手にやりたくてやっていることだから、プレッシャーに感じる必要もない。あなたはあなたの思うように生きていればいい。ただ、私の言葉を少しだけ頭の片隅に置いてくれたら、それはそれで嬉しいけれど。」
という思いで、私たちの北星余市をはじめ、様々な学校の説明会に参加されている方でした。ちなみに、その子はほどなく高校に進学していきました。
夜遅くまで友達の家に遊びに行って帰ってこない子どもに、素直な気持ちで毎晩手紙をしたためられた親御さんも私は知っています。その中身はご自身の焦りや心配をぐっとこらえて、子どものことを心から思うものでした。「おかえり。今日も無事帰ってきてくれてありがとう。何か困ったことがあったらいつでも声かけてね」子どもは一切返事もしないし、反応もなかったそうですが、家にいることも増えていったり、普段の何気ない会話に棘がなくなったり、いつしか少しずつ関係性が改善されて行っていることを感じ始めたと言います。子どもたちは思ったより大人のことを見てくれています。そうした親の思いというのは通じるものです。そうした「信じて・任せて・待ち」ながら、普段からの関係性を作り直すことは、適切なタイミングを見つけて、適切な声がけをするのに必要な土壌となります。
少し話が広がりすぎましたが、高校に行かせたいと思うのであれば「もし、あなたが高校に行きたいと思ったらいつでも言ってきて。私たちはその準備をいつでもして待っているから。遠慮なんか要らないし、変なプライドもいらないから。あなたが今したいこと、今これが正しいと思っていることをやればいい。それでうまくいけば、それはそれでいいけれど、もしうまくいかなくなったら、いつでも声をかけてちょうだい。高校にいけるような準備はいつでも整えてあるから」と、信じて任せて待つことが遠回りのようで近道なのかもしれません。もちろん、言うは易く行うは難しで、親御さんにおいては相当な辛いお時間を過ごすことになるかと思いますが。