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理念や指導方針

校長挨拶

 本日、54期生の皆さんが卒業の日を迎えるにあたり、校長としての思いを、少しお話させていただきます。

 みなさんは今日の日を迎えるにあたり、どのような気持ちでいるでしょうか。もちろん北星余市での高校生活を無事に終えて卒業というとても大切なものを勝ち取ったことへの喜びはいかばかりかと思います。ただそれと同時に明日から始まる新しい生活への不安な気持ちを持っている人もいるのではないでしょうか。

 今の日本と世界での新型コロナウイルスの感染拡大状況は、本当にあらゆることに対する悪影響をもたらしています。昨年の4月から大学生になった大学1年生は、ほとんど大学に行かないまま1年間、オンラインでの授業を受けています。大学生らしいキャンパスライフを送れていません。また生活費をアルバイトで賄うつもりだった学生は、飲食店のアルバイトがなくて困窮しています。就職しようにも、多くの会社が業績不振で採用する新人の人数を減らしているので求人がとても少なくなっています。明日からみなさんは、嫌でもそういった世間の荒波の中に出ていかなければなりません。

 どう見ても卒業後に明るい未来が待っているとは思えない状況です。そうした厳しい世の中でどう生きて行けばいいのか。私が大切だと思うのは、自分が生きていくためにどうしても譲れないことは何かをはっきりさせることだと思います。それはがあると、たとえどんなに生活が大変でも自分を見失わないで生きていけると思うのです。ただ、そのことを貫くとこの日本では苦しい思いをするかもしれません。つまり世間では認められない場合もあるかもしれないという事です。それでも自分の考えを曲げないで生き続けていくと、いつか世間が自分の考え方に近くなるかもしれないと思うのです。

 例えば、みなさんが北星に入学したときのことでいえば、一般的には地元で、自宅から通学できる高校に行くのが普通である見られるなかで、北海道の余市にあるうちの学校に入学することは、やっぱり普通の高校生活とは違うと世間は見るでしょう。けれど、この北星余市での高校生活は、生徒をいい大学に行かせようだとか、スポーツで全国に名前を轟かそうだとか、というような世間一般的な高校の在り方とは全く違う、人間が人間らしく生きるために必要なことは何かを追求していく高校生活です。突き詰めて考えると、高校とは人がまともな大人に成長するための経験をする場所なのですから、そのことこそがもっとも大切にするべき、当たり前の学校の価値観なのかもしれません。

 そう考えると北星余市こそがもっとも普通らしい学校といっていいかもしれないのです。ただ世間の多くの人がそう思ってくれるには、もう少し時間は必要でしょう。それでも北星余市があきらめないで学校を続けていくことができるのは、北星余市で成長してくれた多くの生徒たちが卒業した後もしっかりと生きて行ってくれているからです。そういう多くの卒業生の存在によって、私たちは北星余市が世の中に求められている学校だと思えるのです。

 校長として54期生のみなさんに期待することは、北星余市の卒業生の皆さんが、厳しい世間の中で時に毅然と、時にしなやかに、これからもしっかり生きて周りの人たちにその生きざまを認められるようになってほしいということです。そういう生き方をする卒業生がたくさんいてくれると、教員も、在校生も、下宿の管理人さんも、大いに励まされ、これからも北星余市に入学する生徒のために頑張ろうと思えます。ぜひ皆さんは、そういう生き方をして我々が自慢できる卒業生になってください。お願いします。

 最後に54期生の保護者の皆さん、北星余市にお子さんを入学させていただき、本当にありがとうございました。特に54期生が入学してくれた2018年度は、本校は廃校になるかもしれない瀬戸際のギリギリのところにいました。そうした中で、入学してくれた多くの54期生のおかげで今日まで学校を続けることができております。これも54期生の保護者の皆様のおかげだと思っております。心から感謝申し上げます。今後も北星余市を応援し続けていただければ幸いです。

 それではこれを持ちまして、校長の式辞とします。

2021年3月6日

北星学園余市高等学校長 平野 純生

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