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実生活について

卒業生からのメッセージ

2002年3月1日、涙でイッパイの卒業式を迎えてから、もう5年が経とうとしています。
僕は北星余市高校(以下、北星)を卒業したあと、道内の国立大学へ進学・高校教員の免許を取得し、現在、教育への関心から都内の教育学系大学院で研究活動を行っています。二度の高校中退という自分の経験を相対化して、「高校とは何をするべきところなのか」ということをもう一度考え直してみたいと思ったからです。最近は「引きこもり」、「ニート」と呼ばれる若者や不登校、そして高校中退を経験した若者と接し、彼らの視点から高校教育を見直している最中です。

高校中退者の僕が大学院に進学できたことを、北星抜きに語ることはできません。しかし、北星で得たものはけっして「進学」だけではありませんでした。それがなんだったのか、自分の言葉で伝えたいと思います。そして、自分がそうであったように、今まさに、高校進学や自分のこれからに悩んでいる、あるいは嫌々高校進学を考えている仲間にとって「ほんの少しでもいいから役に立てたらいいなぁ」と思っています。

卒業してから5年が経って、「北星余市って、自分にとってなんだったのかな?」って考えることがある。「人生をやり直した場所?」「かけがえのない仲間を得た場所?」「楽しい思い出がイッパイ詰まった場所?」、どれも当たってると思う。でも、それは卒業を目前に控えた3年生後半から卒業した後になって感じたことで、在学中はそんなこと考えてなかった。むしろ、「かったり~授業だなぁ」とか「ヒマ」、「寒い」、「ムリ」とかグチばっかり言ってたような気がする。そんなこと書いたら「じゃあ、オマエにとって北星はそんなに重要じゃないんじゃないの?」って言われそうだけど、そうでもない。

北星には本当に変な先生たちがいる。自分のことを変態って言い切っちゃってる人とか、その人を心から崇拝しちゃって「キミも変態になれる。こっちにおいでよ」って勧誘してくる人とか、生徒の問題行動に怒りまくって帰宅しちゃう人とか。普通なら「それ、マズイでしょ?」って思う人たちがゴロゴロいる。でも、そんな「マズイ」先生たちが熱くなる一瞬に惹かれるときがある。

生徒もいろいろ。外見なんて暴力団構成員みたいなのに、ちょっと叱られたら泣いちゃう奴とか、逆に目がキラキラ輝いてる少年院あがりの奴とか、好青年ヅラしてどうしようもなくオンナったらしの奴とか、いつもおとなしいのに「大岸くん。僕、キミのそういう、いい加減なところが大っ嫌いなんだよね」って急に図星をついてくる奴とか、化粧をとったら誰だかわかんなくなっちゃう女の子とか、年下なのにお母さんみたいな女の子とか。本当に予想できない奴らがゴロゴロいる。でも、そんな外見とのギャップを見れたとき、ちょっと嬉しい自分がいる。

北星には育った場所や年齢だけじゃなく、経験してきたことも全く違う人間たちが集まってくる。3年間っていう長いようで短い時間を、そんな色鮮やかな人間たちと一緒に過ごした場所、そして、彼らと時には笑い、時には陰口をたたき、時にはぶつかり合う中で、自分のこれからを考え続けた場所、それが俺にとっての北星余市なんだと思う。

俺は、そこでいろんな人間から、いろんなことを感じて、いろんなものを得ることができた。それが「大学進学」、「大事な仲間」、「辛かったり、苦しかったり、でも全部ひっくるめて楽しい学校生活」だったんだと思う。

今「やり直しの場」って言われる場所は日本中どこにでもある。高卒資格を手に入れるために通信制とサポート校に行くのも良い、居場所を求めてフリースクールに行くのも良い、若者自立塾などの就労支援機関を利用するのも良い、やり直しじゃなくても繋がりを求めてネットで仲間を作るのも、もちろんアリだと思う。でも、あり余るほどのヒマな時間を変な先生たちや予想外の仲間と過ごす3年間にあててみるのも良いかもしれない。

自分のこれからに悩んで、でも、一歩を踏み出せない人へ。どうせ、いつかは社会に出て行かなくちゃいけない。その時、胸を張って語れる何かや、くじけちゃいそうな時に相談したりグチれる仲間や変な恩師との繋がり、ちょっとやそっとでは負けない図太さを持ってたら意外と気持ちよく生きられるかも。
「やっべぇ、俺の人生終わった。もうやり直しきかねぇな」って諦めてる人へ。がんじがらめの地元から一回外に出て、しがらみのないところから始めてみると意外と上手くいくことがあるかも。しかも、そこで目標なんか見つけちゃったらどうする?

最後はおせっかいな文章になってしまったかもしれません。でも、こんな学校が実際にあります。キレイなことばかりじゃないけど、誰よりも人間らしい教師と生徒がいて、彼らがどこよりも学校らしい学校を創っていこうとしている。それが北星余市です。

「学校がこんなにすばらしいとは思わんかった。学校がこんなにおもしろいとは思わんかった。学校がこんなにつらいとは思わんかった。卒業がこんなに嬉しくて、悲しくて、そしてこんなにも別れ惜しいとは思わんかった」

これは、5年前の僕たちの卒業式で、友人が読んでくれた答辞の一節です。この言葉に彼の3年分の想いが詰まってるんだと思います。こんな卒業式を迎えられるのも、北星余市。今、悩み苦しんでいる仲間が少しでも興味を持ち、北星余市を新しい出発点に選んでくれたら、一人の先輩としてこれほど嬉しいことはありません。

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