理念や指導方針

教員はいま

「北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン STAR☆RECORD」にも寄稿してくださっている和歌山県精神保健福祉センター所長でもあり、アジア児童青年精神医学会副会長でもある小野善郎先生との繋がりを持たせていただいているのは2016年1月から。インクルーシブ教育を考えるイベントを開催してからです。

STAR☆RECORD:大人へと向かう足がかりを作る高校教育。/ 小野善郎

小野先生がおっしゃられている「高校教育」に対する観点は、とても私たちの学校にしっくりくるものです。今の学校制度が確立され「なぜ、高校進学するのか」といった価値観が作り上げられたのは戦後間もない頃です。

時代が進み、あるいは社会が大きく変わっても、あるいは97%を超える中学生が高校に進学しても、高校教育にもとめられるものはほぼ変わっていません。

少なくとも、これを書いている私は40歳ですが、私が中学生だった時とやってることも言ってることも考えていることも、ほとんど変わっていないわけです。文部科学省は時代に合わせて、子ども達につけさせたい力を考え、色々と発表していますが、ほとんど変わらない。

それはいわゆる上級学校への進学のための知識と高校卒業後に働くために必要な資格や技術と高校教育で教えられる教養です。しかし、それだけではもはや高校教育で人を育てることは限界が来ています。小野先生は上記の寄稿記事の中で、このように高校教育の役割の捉え直しをしていらっしゃいます。

15歳から18歳という思春期の育ちの場でもあります。子どもから大人への過渡期に相当する思春期は、子どもとしての成長・発達の仕上げの時期であるとともに、親から自立して大人に向けて進み始める重要な時期です。ほとんどの子どもが高校に進学する現在では、思春期を高校生活の中で過ごすことが一般的になっているので、必然的に高校教育は思春期の成長・発達とは無関係ではいられません。不安定な思春期真っ只中の生徒を受け止め、子どもから大人に移行の足がかりを作る重要な役割も高校には期待されます。

教科科目の履修が高校教育の中核であるとすれば、それ以外の高校での活動(効率的な高校教育でのムダに相当する)はすべて思春期の発達支援と関連します。学力だけでなく、大人として生きていく基礎を築く支援も、現在の高校教育に求められる重要な要素であり、特にさまざまな不利や困難を抱えてドロップアウトのリスクが高い生徒には、ただ単に学力を高めることよりも、大人として生きていくのに役立つ学びの経験をすることはとても重要になります。このような教育的実践を私たちは「移行支援としての高校教育」と呼んでいます。

http://www.hokusei-y-h.ed.jp/star_record/list/794/ より

小野先生は精神医学の専門家。精神医学の専門家であり、なおかつ、教育に人の育ちを期待してくださっている方です。教育の場である我々もまた、教育の力だけでは乗り越えるに困難な課題を感じています。互いに己の限界を知り合う者同士、子どもたちの成長にとって何が良いことかを共に考え、磨き合う、そんな連携が今年からできそうです。

2017年5月16日、小野先生がご来校されました。学校内を見学し、授業を参観し、寮下宿を訪問して管理人さんとお話をしました。それまで、ウェブや書籍等で北星余市を観てきたものに実感を伴わせていただいた時間だったと思います。

先の「教員はいま」でご紹介した、札幌にある社会福祉法人 麦の子会さんとも連携をし、三者で子どもたちの育ちを考えることが、きっと私たちのよりよい教育実践に繋がっていくものと考えながら、小野先生との時間を過ごしました。

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