不登校から立ち直るきっかけとは?再登校の前兆と保護者ができる対応を解説

2026.08.02 卒業生

牧師・教員・経営者

後宮 嗣

USHIROKU TSUGU

「不登校から立ち直るきっかけは何だろう」「最近少し元気になってきたけれど、学校へ行くよう促してよいのだろうか」と悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。

僕自身、札幌の高校を中退し、そこから環境を変えて学び直した経験があります。今は教員として生徒と関わる立場にもいますが、当時の自分を振り返って思うのは、動き出せた理由を一つには絞れない、ということです。休めたこと、場所が変わったこと、そして名前を呼んでくれる大人がいたこと。それらが少しずつ重なって、気づいたら動いていました。

不登校の状態にある子どもの変化は、一直線には進みません。朝起きられる日が増えたあとに再び昼夜逆転したり、外出できた翌日に一日中眠ったりすることもあります。学校へ行けた日だけを回復と考えると、本人も家族も小さな変化を見失いやすくなります。

立ち直るきっかけは子どもによって異なります。安心して休めたこと、好きな活動を始めたこと、信頼できる人に出会ったこと、進級や進学で環境が変わったことなど、複数の出来事が重なって動き出す場合もあります。

大切なのは、きっかけを保護者がつくって与えようと焦るのではなく、子どもの状態を見ながら選択肢を用意することです。再登校を希望する場合も、短時間登校や別室登校など、負担の少ない方法から試せます。学校へ戻ることだけでなく、教育支援センター、フリースクール、オンライン学習、通信制高校などを利用して学びを続ける道もあります。

この記事では、不登校から立ち直ることの考え方、回復につながる主なきっかけ、元気になってきたサイン、再登校時の注意点、保護者ができることを整理します。子どもを急がせず、その子に合った次の一歩を考えるためにお役立てください。

▼この記事でわかること

  • 不登校から立ち直るきっかけ
  • 子どもの心身のエネルギーが戻ってきたサイン
  • 再登校するときに保護者が注意したいこと
  • 小学生・中学生・高校生それぞれに合った支援の考え方
  • フリースクールや教育支援センター、通信制高校など学校以外の選択肢

著者情報

後宮 嗣

後宮 嗣

1989年北海道千歳市出身。京都府在住。札幌市の高校を中退後、2005年に北星余市高校へ入学。卒業後は明治学院大学国際学部国際学科へ進学し、業界大手商社に就職。2020年に退職し、同志社大学大学院神学研究科に入学。現在、牧師・教員・経営者として活動中。「実力があればこそ楽しさも生まれる」「人にいい影響を与える生き方がしたい」という思いをもとに、自身の経験も交えながら、不登校や進路に悩む方へ向けて語ります。公式インタビュー:https://www.hokusei-y-h.ed.jp/star_record/list/11765/

遷移先URL:https://www.hokusei-y-h.ed.jp/

不登校から立ち直る主なきっかけ

不登校から立ち直るきっかけは一つではありません。本人の心身の状態、家庭や学校の環境、年齢、これまでの経験によって異なり、複数のきっかけが重なることもあります。

安心できる居場所ができる

不登校の子どもは、学校で緊張や不安を抱え続け、家にいても「行かなければならない」と自分を責めていることがあります。まず、責められずに過ごせる場所があると、張りつめていた心身を休ませやすくなります。

僕も、学校から離れていた時期は「休んでいる」というより「何もできていない」という感覚のほうが強くありました。そこを責められないことが、次を考える前提だったと思います。

居場所は家庭に限りません。祖父母の家、図書館、教育支援センター、フリースクール、地域の活動など、本人が安心できる場所が見つかる場合もあります。毎日通う必要はなく、「行けるときに行ける」「話したくない日は静かに過ごせる」といった柔軟さが助けになることがあります。

安心できることが次の行動の土台になります。何かをさせる場所としてではなく、本人が自分らしくいられるかを確かめましょう。

信頼できる大人に出会う

親子の関係が悪くなくても、親には話しにくいことがあります。担任、養護教諭、スクールカウンセラー、塾の先生、フリースクールのスタッフ、親戚など、家族以外の大人との出会いが変化のきっかけになる場合があります。

僕にとって大きかったのも、この出会いでした。正しい助言をもらったからではありません。特別なことを言わずに、ただ日常の中で自分を知っていてくれる大人がいた。それだけで、少し息がしやすくなりました。

信頼関係は、正しい助言をすればすぐに生まれるものではありません。話を急かさず、評価せず、約束を守り、本人のペースで関わる時間の積み重ねが必要です。本人が「この人なら少し話してもよい」と思えることが第一歩です。

相談相手は一人に絞る必要はありません。学校生活、心身の不調、進路など、話題によって相談しやすい相手が違っても構いません。

好きなことや得意なことに取り組む

ゲーム、絵、音楽、料理、運動、動画編集、読書など、好きなことに取り組む時間は、単なる気晴らしとは限りません。夢中になれる活動を通して気持ちが安定し、「やってみたい」という意欲が戻ることがあります。

保護者から見ると勉強と関係がないように見えても、情報を集める、工夫する、人と協力する、作品を完成させるなど、多くの力が使われています。好きな活動からオンラインや地域のコミュニティにつながることもあります。

僕は「実力があればこそ楽しさも生まれる」と考えています。裏を返せば、楽しいと思える何かに取り組んでいる時間は、力がついていく時間でもあるということです。

好きなことを回復の入口として尊重しましょう。進路や成果へすぐ結びつけず、本人が楽しめているかを大切にしてください。

小さな成功体験を積む

不登校が続くと、「自分は何もできない」「どうせまた失敗する」と感じる子どももいます。起きる、着替える、家事を手伝う、近所へ出る、課題を一問解くなど、本人にとって無理のない行動を積み重ねると、自信を取り戻すきっかけになります。

大人が決めた目標ではなく、本人が選べることが重要です。できなかった日は評価せず、取り組めた事実を具体的に伝えます。「すごい」と大きく褒められることが負担になる子には、落ち着いて「できたね」と伝えるだけでも十分です。

成功体験は本人の基準で考えます。周囲と比べず、昨日まで難しかったことに少し取り組めた変化を見てください。

学年やクラス替えで環境が変わる

クラス替え、担任の交代、進級、進学などによって、人間関係や日課が変わることが再登校のきっかけになる場合があります。以前の状況を知る人が少ない環境で、やり直したいと感じる子どももいます。

僕が学び直せたのも、誰も自分の中退を知らない場所で、もう一度自己紹介から始められたからでした。ただ、それは環境が魔法のように効いたのではなく、そこに慣れるまでの時間を許してもらえたからだと思っています。

ただし、新学期になれば自然に解決するとは限りません。期待が大きいほど、「初日から行けなかった」「数日で休んだ」と本人が落ち込むこともあります。始業式への参加、放課後の登校、担任との面談など、複数の入り口を用意すると安心です。

環境の変化だけに期待をかけすぎないことが大切です。新しい環境で必要な配慮を学校と事前に共有しましょう。

進路や将来を考える機会ができる

高校進学、転校、大学や専門学校への進学、就職などを考える時期に、本人が動き出すことがあります。興味のある学校を見つけたり、やりたい仕事を知ったりすると、今の学習や生活を見直す目的が生まれます。

一方で、進路の話がプレッシャーになる子もいます。期限や現実的な条件を伝える必要はありますが、保護者の希望を押しつけず、資料を見る、オンライン説明会に参加する、見学するなど段階を分けてください。

将来の選択肢を本人と一緒に探しましょう。一つの進路に決めるより、複数の可能性を知ることが行動のきっかけになります。

不登校の子どもが元気になってきたサイン

回復の前兆は、登校の有無だけでは判断できません。日常の小さな変化に目を向けると、本人のエネルギーが戻り始めていることに気づけます。ただし、一つのサインだけで登校を急がせないことが大切です。

生活リズムが少し整ってきた

夜に眠り、朝や昼に起きる日が増える、食事の回数が安定する、着替えや入浴ができるようになるといった変化は、心身のエネルギーが戻り始めたサインの一つです。

生活リズムは一度で整うものではありません。登校時間に合わせるために急に起床時刻を早めたり、眠れないことを責めたりすると負担になります。まずは起きた時間に光を浴びる、食事をとるなど、できる範囲から整えます。

以前より少し安定した変化を見ます。数日崩れても失敗とせず、体調や活動量との関係を確認しましょう。

家族との会話が増えてきた

自分から話題を出す、冗談を言う、家族の予定を尋ねるなどの変化は、周囲と関わる余裕が戻ってきた可能性を示します。会話が増えたときは、すぐに学校や勉強の話へ結びつけず、日常のやり取りを楽しむことが大切です。

口数が少ない子の場合、同じ部屋で過ごす、メッセージへ返信する、一緒に食事をとるといった変化もあります。表現方法は子どもによって異なります。

何気ない会話が増えたことを大切にします。話してくれた内容を詮索せず、安心して話せる関係を守りましょう。

外出できる日が増えてきた

近所を散歩する、買い物に同行する、趣味の場所へ行くなど、家の外へ出られる日が増えることがあります。人の視線や同級生との遭遇を不安に感じていた子にとって、外出は大きな一歩です。

一度外出できたからといって、次は学校へ行けるとは限りません。外出の目的、時間帯、人の多さによって負担は違います。本人が選んだ場所へ短時間出かけ、疲れる前に帰る方法もあります。

外出できたことを登校と直結させないでください。本人が安心できた条件を一緒に確認し、選択肢を広げます。

学校や友人の話題を避けなくなった

学校からの連絡を見られる、友人の話を聞ける、授業や行事について質問するなど、これまで避けていた話題に触れられるようになる場合があります。学校に対する不安が少しやわらいだ可能性があります。

ただし、話題にできることと、実際に登校できることは別です。「行きたい」と「怖い」が同時に存在することもあります。僕自身、その二つが同時にあった時期をよく覚えています。本人が学校の話をしたときは、結論を急がず、どの部分が気になっているかを聴きます。

話せたこと自体を回復の一歩と捉えます。「それなら明日行けるね」と先回りせず、気持ちを受け止めましょう。

勉強や進路に少し関心を示すようになった

教科書を開く、試験の日程を尋ねる、高校や仕事を調べるなどの行動が見られることがあります。将来への見通しを考えられる程度に、気持ちの余裕が戻ってきた可能性があります。

学習の遅れを一度に取り戻そうとすると、再び自信を失うことがあります。好きな教科、一問だけ、短い動画教材など、取り組みやすい方法から始めます。何をどの程度行うかは本人と相談してください。

僕も学び直しのときは、分からないところまで戻るところから始めました。時間はかかりましたが、そこから大学進学まで届いています。関心が生まれた段階を大切にしましょう。すぐに教材や予定を増やさず、本人が求める情報や支援を用意します。

不登校から再登校するときの注意点

再登校は、回復の終点ではなく新しい環境へ慣れる過程の始まりです。学校へ行けた日は緊張で頑張りすぎることもあります。登校後の疲れまで含めて支えることが必要です。

いきなり毎日登校を目指さない

本人が「明日から毎日行く」と話しても、体力や緊張への耐性が十分に戻っているとは限りません。強い決意で始めた分、休んだときに「また失敗した」と感じやすくなります。

僕も、学び直しを始めた直後は気を張って通えていたのに、少し慣れた頃にどっと疲れが出ました。あのとき「元に戻った」と決めつけられていたら、続かなかったと思います。

週に一日、午前中だけ、行事だけなど、続けられそうな計画を考えます。登校できた回数を増やすことより、本人が負担を伝えながら調整できることが重要です。

継続できる小さな目標から始めます。調子が良い日も予定を急に増やさず、一定期間の様子を見てください。

別室登校や短時間登校から始める

教室へ入ることが難しい場合、保健室、相談室、校内教育支援センターなど、別の場所で過ごす方法があります。放課後に先生と会う、好きな授業だけ参加するなど、短時間から学校とのつながりをつくることもできます。

利用できる場所や担当者、出欠の扱い、学習支援は学校によって異なります。本人がどこで誰と過ごすのかを事前に知ると、不安を減らしやすくなります。

教室以外にも登校の方法があります。学校へ相談し、本人が最も安心できる入り口を選びましょう。

再登校後にまた休む日があっても責めない

再登校したあとは、緊張や疲れが遅れて出ることがあります。数日通えたあとに起きられなくなったり、週明けに休んだりすることもあります。再び休んだことだけで、元の状態へ戻ったと判断する必要はありません。

休んだ日は、登校を続けるための調整日と考えることもできます。何が負担だったか、次回は時間を短くできるか、休める場所が必要かを本人と学校で確認します。

休む日があっても回復は途切れません。責めたり理由を問い詰めたりせず、次の一歩を小さく組み直してください。

学校の先生と事前に対応を共有する

再登校する前に、登校する時間、入る場所、迎える先生、難しくなったときの退出方法を決めておくと安心です。クラスメートから理由を聞かれた場合の答え方や、欠席中の課題をどう扱うかも確認します。

本人の同意なく、事情を広く共有することは避けます。誰に何を伝えるかを本人と相談し、担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど必要な範囲で連携してください。

困ったときの対応を事前に決めます。当日の本人が説明しなくても支援を受けられるよう、学校と具体的に共有しましょう。

本人の不安を確認しながら進める

「行きたい」と話していても、教室の視線、授業の遅れ、友人との会話、先生からの質問など、複数の不安を抱えている場合があります。「何が心配?」だけでは答えにくいため、場所、時間、人、学習に分けて尋ねる方法があります。

不安をすべて解消してから登校する必要はありません。本人が許容できる範囲を確かめ、難しくなったら帰れることを伝えておくと挑戦しやすくなります。

本人が中止や変更を選べる計画にします。一度決めた予定を守ることより、その日の状態を伝えられることを大切にしてください。

不登校から立ち直るために保護者ができること

保護者は、子どもを立ち直らせる役割を一人で背負う必要はありません。家庭を安心できる場所にしながら、学校や専門機関とつながり、親子だけで抱え込まないことが大切です。

無理に登校を促しすぎない

保護者が登校を勧めるのは、学習や進路への心配があるからでしょう。しかし、「いつ行くの」「みんなは通っている」と繰り返すと、子どもが追い詰められ、気持ちを話しにくくなることがあります。

登校の話を一切してはいけないわけではありません。学校からの情報や期限を落ち着いて伝え、本人がどうしたいかを確認します。今は考えられないと言われた場合は、改めて話す時期を相談します。

登校を迫る会話を繰り返さないことが重要です。必要な情報は伝えつつ、決断を急がせないようにしましょう。

安心して休める家庭環境を整える

不登校の初期には、心身が消耗していることがあります。家で休んでいても、家族のため息や緊張を感じると十分に休めません。まず、食事や睡眠を確保し、責められずに過ごせる環境を整えます。

昼夜逆転やゲームの時間が気になっても、すべてを一度に変えようとしないでください。健康や安全に関わるルールは必要ですが、本人の状態を聞き、実行できる範囲から相談します。

安心して休めることも支援の一つです。休息を怠けと捉えず、回復に必要な時間として見守りましょう。

子どもの話を否定せずに聴く

子どもが「学校が怖い」「理由は分からない」と話したとき、原因を特定したり解決策を示したりしたくなるかもしれません。まずは「そう感じているんだね」と受け止め、本人が話した範囲を聴きます。

「そんなことで」「考えすぎ」と否定されると、再び話すことが難しくなります。話したくないときには待ち、会話以外の方法で気持ちを伝えられるよう、メモやメッセージを使うこともできます。

僕が当時いちばん助かったのも、理由を説明しなくてよかったことでした。うまく言葉にできない時期は、本当にあります。

理解するために聴く姿勢を持ちます。保護者が同意できない内容でも、本人の感じ方そのものを否定しないでください。

できたことを小さく認める

不登校が続くと、できていないことに目が向きやすくなります。食事をとった、家族と話した、外へ出た、相談に参加したなど、その日にできたことを具体的に認めます。

過度に褒めると、「次もできなければならない」と負担になる子もいます。評価するより、事実を穏やかに伝え、本人がどのように感じたかを尋ねるとよいでしょう。

結果より取り組んだ過程を認めます。他の子や以前の状態と比べず、本人の小さな変化を見てください。

必要に応じて専門家へ相談する

長く眠れない、食事がとれない、強い不安や落ち込みが続く、自分を傷つける言動があるなど、心身の状態が心配な場合は、早めに専門機関へ相談してください。かかりつけ医、小児科、精神科・心療内科、自治体の相談窓口などがあります。

学校では、担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどへ相談できます。本人が相談を拒む場合、保護者だけで相談し、接し方や利用できる支援を聞くこともできます。

保護者だけで相談することもできます。緊急性があると感じた場合は、様子を見続けず、医療機関や緊急の相談先につないでください。

学年別に見る不登校から立ち直るきっかけ

不登校の背景や動き出すきっかけは、発達段階や学校生活によって変わります。学年だけで一括りにはできませんが、年齢に応じた課題を整理することは支援を考える助けになります。

小学生の場合

小学生は、自分の不安や体調を言葉で説明することが難しい場合があります。腹痛や頭痛、朝の支度の遅れ、保護者から離れられない様子として表れることもあります。

安心できる大人との関係、短時間の登校、好きな授業や行事への参加などがきっかけになる場合があります。保護者と一緒に校門まで行く、別室で過ごすなど、本人が耐えられる範囲から考えます。

言葉以外のサインにも目を向けます。学校と家庭で様子を共有し、体調面に不安があれば医療機関にも相談してください。

中学生の場合

中学生は、友人関係、思春期の変化、学習内容の難化、部活動、成績や進路など、複数の負担が重なりやすい時期です。周囲の目を強く意識し、教室へ戻ることを恥ずかしいと感じる場合もあります。

別室登校、放課後登校、教育支援センター、フリースクールなど、同級生と距離を取れる場所がきっかけになることがあります。高校の情報を知り、今の学校以外にも選択肢があると分かることで安心する子もいます。

高校進学を脅しの材料にしないことが大切です。僕は高校を中退してから学び直しましたが、進路は一度きりの分岐ではありませんでした。出席や成績の扱いは学校へ確認し、利用できる学習支援を一緒に探しましょう。

高校生の場合

高校生は、単位、進級、卒業に関する期限があり、中学生までとは制度が異なります。欠席が続いた場合は、在籍校へ単位認定や進級条件を早めに確認する必要があります。

在籍校での別室登校や履修調整のほか、通信制高校、定時制高校、転入・編入なども選択肢です。環境を変え、これまでの人間関係から離れて新しい高校生活を始めることがきっかけになる生徒もいます。

僕がそうでした。札幌の高校を中退したあと、北海道余市町の北星学園余市高等学校へ入り直し、親元を離れて三年間を過ごしました。北星余市は全日制普通科の高校で、不登校を経験した生徒も全国から集まり、地域の方が運営する寮下宿で生活しながら通学しています。

高校生は卒業までの道筋を確認します。本人の希望、修得単位、生活環境を踏まえ、在籍校や検討先へ早めに相談してください。

学校に戻る以外の選択肢も考える

学校の教室へ戻ることだけが、学びや人とのつながりを取り戻す方法ではありません。本人の状態に合わせて、複数の学び方や居場所を比較することができます。

フリースクールを利用する

フリースクールは、民間団体などが運営し、不登校の子どもに学習や体験活動、交流の場を提供する施設です。活動内容、対象年齢、開室日、費用、スタッフの体制は施設によって異なります。

見学では、本人が静かに過ごせるか、参加を強制されないか、学習支援があるか、在籍校との連携方法を確認します。一定の要件のもとで、学校外施設での活動が出席扱いになる場合もあるため、在籍校へ相談してください。

本人と一緒に見学して相性を確かめます。知名度だけで選ばず、安心して通い続けられる場所かを見ましょう。

オンライン学習を利用する

外出や対面での交流が難しい時期でも、オンライン教材、授業配信、個別指導などを利用して学習を続けられます。好きな教科から始めたり、自分のペースで繰り返し学んだりできる点が特徴です。

義務教育段階では、一定の要件を満たすICT等を活用した自宅学習を、校長が指導要録上の出席扱いとし、成果を評価へ反映できる場合があります。利用前に、在籍校との連携、対面指導、学習内容の確認方法を相談してください。

出席扱いは学校へ事前確認が必要です。教材を契約する前に、本人が取り組みやすい方法と学校側の条件を確かめましょう。

適応指導教室・教育支援センターを利用する

教育支援センターは、教育委員会などが設置し、不登校の子どもに相談、学習支援、集団活動などを提供する場所です。「適応指導教室」という名称が使われている地域もあります。

利用方法、対象、開室時間、送迎、活動内容は自治体によって異なります。在籍校と連携しながら利用できる場合が多く、教室へ戻ることだけを目的とせず、情緒の安定や社会的自立を支える役割があります。

自治体の窓口へ利用条件を確認します。本人が見学を負担に感じる場合は、まず保護者だけで相談する方法もあります。

通信制高校やサポート校を検討する

高校生の場合、通信制高校は、添削指導、面接指導、試験などを通して高校卒業を目指す学校です。登校日数や学習方法は学校・コースによって異なります。サポート校は、通信制高校の学習や生活を支える民間施設であり、それ自体が高等学校ではありません。

自宅中心の学習が合う生徒もいれば、生活リズムや自己管理に不安を感じる生徒もいます。学費、スクーリング、単位の引き継ぎ、進路支援、相談体制を確認してください。

全日制高校で環境を変えたい場合には、転入・編入を受け入れる学校や、寮下宿から通える学校もあります。僕が選んだのはこの道でしたが、どれが正解ということはありません。

学校種より本人との相性を確認しましょう。卒業資格だけでなく、毎日の生活と学習を続けられる支援があるかを見てください。

不登校から立ち直るきっかけに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、不登校からの回復や再登校について、保護者の方からよく寄せられる質問に答えます。本人の状態によって対応は異なるため、迷ったときは個別に相談することが大切です。

不登校は自然に治ることがありますか?

休息や環境の変化によって、本人が少しずつ元気を取り戻すことはあります。ただし、不登校は病名ではなく、原因や背景もさまざまなため、「待てば必ず治る」とは言えません。

変化が見えなくても孤立させないことが重要です。本人を急がせず、学校や相談機関とつながりながら、心身の状態と利用できる支援を確認してください。

不登校の子が突然学校に行くと言ったらどうすればいいですか?

まず「行ってみたい」という気持ちを受け止めます。そのうえで、何時に行くか、どこへ入るか、誰に会うか、難しくなったらどう帰るかを本人と確認し、可能であれば学校へ事前に連絡します。

応援しながら逃げ道も用意します。一日すべて参加することを求めず、途中で予定を変えてもよいと伝えてください。

新学期から登校したいと言った場合は応援しても大丈夫ですか?

本人の希望は応援して構いません。ただし、「新学期から毎日行く」という約束にせず、始業式だけ、短時間だけ、別室からなど、複数の方法を考えます。

行けなかった場合の対応も決めておきます。登校できなかった日も責めず、次に試せる方法を学校と一緒に調整しましょう。

不登校から復帰後にまた休むのはよくあることですか?

再登校後は緊張や疲れがたまり、再び休むことがあります。休んだからといって、それまでの回復や登校経験がなくなるわけではありません。僕自身、一直線には進みませんでした。

再欠席を失敗と決めつけないでください。登校時間、場所、授業数、人間関係などの負担を確認し、計画を小さく組み直します。

中学生の不登校には何をさせるとよいですか?

すべての中学生に共通して「させるべきこと」はありません。まず休息と安心を確保し、本人の関心に合わせて、家事、趣味、運動、学習、外出などから選べるようにします。

本人が選べる余地を残すことが大切です。高校進学や学習の不安は、在籍校や教育支援センターへ相談し、利用できる制度を確認してください。

まとめ|不登校から立ち直るきっかけは子どもによって異なる

不登校から立ち直ることは、すぐに毎日学校へ戻ることだけを意味しません。安心して休める、家族と会話できる、好きなことに取り組める、外へ出られる、将来について考えられるといった変化も回復の一部です。

安心できる居場所、信頼できる大人、好きな活動、小さな成功体験、進級や進学による環境の変化などがきっかけになることがあります。しかし、同じ働きかけがすべての子どもに合うわけではありません。

焦らず本人に合う回復の道を探しましょう。再登校を希望するときは、短時間登校や別室登校から始め、休む日があっても責めずに計画を調整します。学校へ戻ることが難しい時期には、教育支援センター、フリースクール、オンライン学習などを利用して、人や学びとのつながりを保つ方法があります。

高校生の場合は、単位や進級の条件があるため、早めの情報収集が必要です。通信制高校や定時制高校だけでなく、環境を変えて全日制高校へ転入・編入する道もあります。

北星余市では、不登校などさまざまな経験をした生徒を全国から受け入れています。全日制高校で学びながら、余市町の方が運営する寮下宿で生活し、学校と地域の大人が連携して高校生活を支えます。

僕がこの学校で立て直せたのは、特別な指導を受けたからではありません。休むことを責められず、名前を呼んでくれる大人がいて、もう一度やってみようと自分で言えるまで待ってもらえたからです。本人が「ここならもう一度やってみたい」と感じられるかを大切にしてください。

高校進学や転校、寮下宿生活について悩んでいる方は、学校見学や個別相談をご利用ください。

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参考リンク

文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」

文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン等)について」

文部科学省「ICT等を活用した学習活動の出席扱い」

文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」

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