修学旅行の夜

2026.07.28 コラム

WING SCHOOL校長

田上善浩

YOSHIHIRO TANOUE

修学旅行の夜は、格別な思い出の一つだ。私は公立中学校教師時代に合計10回ほど修学旅行を体験してきた。しかし、8年前に熊本市に開校したWING SCHOOLの修学旅行の夜は、また一味違う。
まず、修学旅行があるかどうか決まっていない(笑)。子ども達は「修学旅行に行くのかどうか」「行くとなった場合何日間行くのか」「どこへ行くのか」「どうやって行くのか」「そこで何をするのか」「どこに泊まるのか」「いくら費用がかかるか」などを全部自分たちで調べて考える。ある年の小学6年生は、京都・島根・福岡が候補に上がった。それぞれ飛行機・新幹線・バスなど交通手段も調べる。かかる時間や費用も書き込む。多数決ではなく、あれこれ話し合い納得した上で決めていく。ちなみに、旅費は自分たちで稼ぐ。親の手出しはゼロだ。行き先は京都に決まった。しかし、お金が足りなかったら福岡にしようとなった。(実際、北海道スキーが広島スキーになった年もあった。)そこで、旅費を稼ぐためのマルシェを企画し、それぞれ得意分野で店を出す。個人でメルカリ販売で稼ぐ子もいる。講演会でスピーチをし、カンパを何万円も集めた強者もいた。全員で全員分の旅費を稼ぐ。旅費どころかお小遣いまで稼ぎ出し、ドヤ顔で京都へ行った。

スタッフは引率というよりついていくだけ。清水寺を矢印で示す大きな看板があるのに気付かず、町内図?みたいなのを見て子ども達が悩んでいても教えない。間違ったバスに乗っても一緒に乗っていく。いろいろやらかすが、それも大切な経験。過去一番のやらかしは、京都でホテルに行ったら「ご予約来月になっています」と言われた。大人になってこれをやると大問題だが、小学生はみんな大笑い。でも、やるたびに明らかに実践力が高まっていく。マルシェも、最初は「釣り銭がない!」などで騒いでいたレベルだったのが、素材の質も上がり料理の腕も上がりクオリティがどんどん上がっていく。全ては将来につながる経験の積み重ね。
そしてついに迎えた修学旅行の夜。次の6年生に引き継ぎたい10のことに、「やはり夜は早めに寝た方が次の日が楽」が入った(笑)。

文・写真:田上善浩

 

プロフィール

田上善浩 | Yoshihiro Tanoue

WING SCHOOL校長。2018年熊本市にWING SCHOOLを開校。
100人の小中学生が全国から集い「幸せな未来を築く力」をつける教育を楽しんでいる。教育界から新たな時代を築くために、日本全体の公教育改革を目指している。著書「幸せな未来を創るオルタナティブ教育/学校」

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