我想う、
シャーキャムニ・ブッダの秘密

2025.02.17 コラム

中札内村 曹洞宗 鶴林寺住職

山口正雲

SHOHUN YAMAGUCHI

シャーキャムニ・ブッダとは言うまでもなく、インドではるか昔仏教を開かれたお方である。今回投稿させていただいた以下の文章は、あくまで一僧侶としての私が、想像をめぐらせた部分が多いことを、お断りしておきたい。ブッダはシャカ族の王子としてお生まれになり、父シュッドーダナのいわば英才教育のもと、将来の王様となるべくして育てられた。

王子16歳頃の生活は、若い美女を十数人身近に侍らせ、生理的な欲求、性欲的な欲求すべてが満たされ、不満無きように管理されていた。人格形成上、マイナスからのスタートと言わざるを得ない。彼からは青年期のはつらつとしたオーラは見えず、ひどい言い方をすれば、ぶよぶよとした精神になってしまわれたのだと思う。しかしその後も内面の改革が出来ぬまま、ずるずると結婚した。さらに妻が第一子を身ごもるという局面が訪れた。そこで彼のとった行動は、皆が寝静まるのを見計らって、夜中に愛馬カンダタとともに、ひっそり城を抜け出してしまう。私がおおいに尊敬し、師と仰ぐのはこのことなのだ。つまり自分自身の精神とか魂を第一にする生き方を選んだこと。はたから見える幸せだとか、世間的な安定だとかそんなことより、「このままじゃ、俺の精神が絶対にまずい」と思って行動に出たこと。心で号泣しながらも、勇気を持ってその道を歩んだことなのだ。

文・イラスト:山口正雲

 

プロフィール

山口正雲 | Shohun Yamaguchi

中札内村 曹洞宗 鶴林寺住職。東の空の暁と共に目覚め、西に流れる川にてカヤックをいそしみ、南に向かって愛犬と昼寝し、北の空地にて薪割りに汗を流す。

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