北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
東京学芸大学在学生
大内萌生
MEI OUCHI
もうあの頃みたいな夏には出会えないだろう。
暑くて制服のスカートをバサバサする。
毎日会ってるのに話が途切れることはない。
エアコンが無いことを言い訳に授業は聞いていなかった。
昼休みは急いでお弁当を食べて、体育館でバレーボール。
授業が終われば急いで部活に駆けていく。
少しだけ日焼けが気になるけど、汗は平気で流す。
毎日変わる夕焼け空。すごく好きだった。
帰り道は自転車で夜風に吹かれる。
車の音で消されていると信じて、大声で歌った。
たまに君と帰って、“また明日”を交わす。
似たような毎日だったかもしれない。でも毎日が思い出だった。少しダサい制服も、将来に悩んで泣いた日も、
目標に向かって燃えたときも。
終わってから噛みしめて、懐かしくなっては思い出に浸る。
もうこんな夏は帰ってこない。
だからこの夏は
海につれてって。
久しぶりにキャンプに行こう。
フェスは日焼けするから遠慮しようかな。
浴衣をきて、わたがしを一口。
お花いっぱいの中で、思いっきり自然を浴びよう。
夜はお散歩しよう、いつもより早く溶けてくアイスを片手に。一日くらいは、近所のおじさんたちとラジオ体操でもしようかな。行ったことないところに、君がいるから。会いに行くね。
どんなときもおいしいグルメが必須です。どうぞよろしく。
一番忘れちゃいけない持ち物は
君だね。
夏だからさ
前髪もぐちゃぐちゃだし、汗に悩まされるし、
まぶしくてサングラスとかかけちゃうけど
とびっきりの笑顔で会いに行くから。
ゆるして。
まるでひまわりのように向き合いたい君だけに
まるで花火のような儚い瞬間を君と過ごしたい。
なつ。ナツ。夏。
今年の夏は
何が起きても
全部夏のせいにしよう。
文:大内萌生、イラスト:小高梨乃
大内萌生 | Mei Ouchi
2005年生まれ。北海道札幌市出身。東京学芸大学 教育支援課程 表現教育コース在籍。学びと遊びの両立。