経験を豊かにする、イベントや取り組み 2026.6.23

教育実習生のお話をご紹介!②

卒業してからどんな壁があったのでしょうか。

高崎 麻美

みなさん、こんにちは。
今日、明日と本校は弁論大会です。昨日まで原稿が完成しておらず悩みに悩んでいる姿。表現の練習に苦労している姿。これで良いのかな?大丈夫かな?と不安もあるようですが、みんなそれぞれ向き合って取り組んでいました。
どんな弁論が聞けるのか、楽しみです。弁論の様子は後日お伝えしますので、お楽しみに!

今週の全校礼拝も、もう1人の教育実習生の卒業生が話してくれたので、今日はそのお話をご紹介します。卒業した今、北星余市はどういう存在だったのか。どのように感じて過ごしてきたのか。少し長いですが、ぜひ最後までお読みください。


今日は教育実習生としてではなく、この学校の卒業生として、そして皆さんより少しだけ先に社会へ出る準備をしている一人の人間として自分が自分に何を思っているのか話をしたいと思います。

「大丈夫だよ、お前なら」これは私が北星にいた一年半で一 番、先生方や下宿のおばちゃんなどに言われた言葉です。
でも正直、当時の私はその言葉があまり好きではありませんでした。だって大丈夫じゃなかったからです。不安でした。苦しかったです。自分の将来なんて見えませんでした。だから心の中では、「何が大丈夫なんだよ」と思っていました。

私は北星余市に来る前、自分のことを理解してくれる人なんていないと思っていました。
だから怒ることも多かったし、人を信じることも苦手でした。大人に対しても、「どうせ分かってくれない」と思っていました。実際に、自分の人生について考える中で、理不尽だなと納得できないこともたくさんありました。そのたびに私はいろんな方法で反発しました。でも今振り返ると、当時の私は自分が自分でいること、生きることに必死だったのだと思います。

そんな私が北星余市に来て会ったのは、今まで出会った大人たちとは少し違う人たちです。正直に言うと北星の先生たちや下宿のおばちゃんは、私の欲しい言葉をあまりくれませんでした。
落ち込んでいるときに、「俺なんかダメだ、どうせうまくいかない、認められない」と言っても、ただ「大丈夫か?辛いのか?」と慰めてくれるわけではありませんでした。苦しいときに、「それはお前が悪くない」と簡単に言ってくれるわけでもありませんでした。正直、腹が立つこともありました。「心配しろよ!」もっと優しくしてくれればいいのにと思ったこともあります。

 でも今になって思います。あの人たちは、私を気分良くさせようとしていたのではなく、成長させようとしていたのだと。
皆さんも少なからず経験があると思います。人は弱っているとき、自分の欲しい言葉をくれる人に惹かれます。
「お前は悪くないよ」「辛いか?」「気にしなくていいよ」「一緒にそいつの悪口を言おう」
そう言ってくれる人は優しく見えます。もちろん、本当にそういう言葉が必要なときもあります。

でも大学に行ってから、私はあることに気付きました。
欲しい言葉をくれる人が、必ずしも自分のためになる人ではないということです。
今の世の中は、目覚ましい勢いで情報革命が進み自分に都合のいい人やAIだけで周りを固めることができます。SNSを開けば、自分と同じ考えの人が集まります。マッチングアプリで趣味の合う人と簡単に繋がれます。嫌なことを言う人はブロックできます。自分を否定する人とは関わらなくて済みます。でも、それを続けた先に何があるのでしょうか。私は自分の世界はどんどん狭くなっていくと思います。自分を成長させるはずだった土台、基礎も消えていきます。そしていつの間にか、自分のことしか見えなくなります。

 大学に進学してから、私はたくさんの壁にぶつかりました。
正直に言うと、人間関係で傷ついたこともありました。同級生からいじめに近い経験をしたこともあります。昔の自分なら、「もういいや」で終わっていたかもしれません。でも終われませんでした。北星余市で積み上げてきたものがあったからです。
そして何より、「ここで逃げたら後がない」という気持ちがありました。
ただ同時に、大学では北星でうまくいったやり方だけでは通用しませんでした。
思ったことを正直に言うこと。自分の過去をさらけ出すこと。正しいと思うことを貫くこと。それらは大切なことでした。でもそれだけでは足りませんでした。大学では、相手の立場を考えることも必要でした。伝え方を工夫することも必要でした。自分の成功体験を疑うことも必要でした。それは苦しかったです。これは今まで積み上げてきたものを踏みつけ侮辱し唾を吐きかけないと前に進めない場面もありました。
北星で通用したやり方が、大学では通用しないこともありました。
正しいことを相手にぶつける、思ったことを正直に言う。過去をさらけ出す。などの高校時代の成功体験だけでは戦えませんでした。
昔の自分を守り続けるだけの戦いでは誰も振り向いてくれないし成長できませんでした。それは本当に苦しかったです。今までの自分を否定するような感覚があったからです。

でもそこで気付いたことがあります。
成長とは、過去の自分を守り続けることではなく、必要なときに手放すことでもあるということです。
私は大学で勉強もアルバイトもたくさんしなければいけませんでした。自分の能力以上のことを求められる毎日でした。眠れない日もありました。逃げ出したくなった日もありました。
何度も、「もう無理だ」と思いました。でも投げ出しませんでした。なぜなら、北星の生活の中で努力というものは痛みを伴うものだと知っていたからです。

皆さんの中にも、努力しているのに結果が出ない人がいるかもしれません。頑張っているのに苦しい人がいるかもしれません。でも考えてみてください。もし努力に痛みがなかったら、それは本当に挑戦でしょうか。もし何も失わず、何も傷つかず、何も苦しまないなら、それは今いる場所の延長線上を歩いているだけかもしれません。
まっすぐな努力には痛みがついてきます。だから苦しいと思います。だから不安になると思います。だから逃げたくなるんだと思います。でも痛みがあるからこそ、人は変われるのだと思います。

さらに大学で学んだことがあります。
それは、甘えるべき人に甘える大切さです。助けを求めることの大切さです。
私はおそらく日本でも有数の英語が得意な大学の中で一番英語ができませんでした。周りの学生に全くついていけませんでした。悔しかったです。情けなかったです。でも私は私にできないことを隠しませんでした。自分の弱さを認めました。その上で大学が用意してくれている英語支援センターへ行きました。「自分はここができません」「時間がかかります」「だからこういうサポートをしてほしいです」そう伝えました。すると助けてくれる人が現れました。

ここで皆さんに伝えたいことがあります。
自分をさらけ出すことと人に助けてもらうことは違います。さらけ出した上で具体的にどうしたいか何ができるのか言わないと時間やタスクに追われている人は助けてくれません。勝手に全部を察して助けてくれる人より察して利用してやろうと考える人の方が多いです。だから助けてくれる人に正当に甘えましょう。
そして最後に、私は自分のバックボーンを含めて受け入れられたい生き物です。認められたい。分かってほしい。愛されたい。そう思います。
でも大学生活の中で受け入れられたいなら、まず自分が相手を受け入れなければならないということ、自分を理解してほしいなら、まず相手を理解しようとしなければならないことに気がつきました。自分を認めてほしいなら、まず相手を認めなければなりません。これは簡単なことではありません。なぜなら、大抵の人は自分のことで精一杯だからです。
でも関係というのは、誰かが一方的に与えてくれるものでなく、自分から関わりに行って初めて生まれるものです。でも私を含めてみんなはできると思います。なぜなら無償でやってくれる大人が周りにいるからです。本当にたまにむかつかせてくるし、言って欲しいことは言ってくれないけど自分たちを受け入れてくれる人がいるでしょ。方法は見てきたと思います。
そして周りにいてほしい人についても皆さんが苦しいとき、「大丈夫?」と聞いてくれる人も大切です。しかし、私が本当に支えられたのは、「大丈夫だよ。良太ならできるよ。」と言ってくれる人でした。
不安を一緒に大きくする人ではなく、自分の可能性を信じてくれる人です。傷をなめ合うだけではなく、前を向かせてくれる人です。だから皆さんにも、自分の周りにいる人を拒む前に受け入れ大切に選んでほしいと思います。自分を甘やかしてくれる人ではなく、自分の成長を願ってくれる人を大切にしてください。そして皆さん自身も、誰かにとってそんな存在になってください。なれるから必ず。

私は北星余市で、人と向き合うことを学びました。
こんな無償で色々やってくれる人がいることを知りました。そして大学で、自分と向き合うことを学びました。 そして今思うのは、これからの人生は誰かが変えてくれるわけではありません。誰かが自分を救ってくれるわけでもありません。でも、自分から辛くても痛くても一歩踏み出したとき、手を差し伸べてくれる人は必ずいます。どうか皆さんも、自分の人生を大切にしてください。苦しくても、痛くても、自分から関わることをやめないでください。その先にしか見えない景色があるからです。


葛藤しがならも、それでも逃げずに自分自身と、そして周りと向き合ってきたことが伝わります。
大人になっても向き合うことから逃げたくなる時もあります。見習わないといけないですね。
素敵なお話ありがとうございました!
2名の教育実習生も今週で終わりです。あとわずか頑張ってくださいね。
そして在校生のみんなも、卒業生から聞く話は自分自身にも重なることがあるのではないでしょうか。まだ話した事のない人も、是非話しかけてみてくださいね。

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