約束を思い返すと、
失敗の記憶ばかり

2021.03.06 コラム

千葉県出身の現在高校3年生

吉井萌々子

MOMOKO YOSHII

生きていくうえで約束という行為は必要不可欠だと、私は気づいた。私は人生において大きな約束をしたことがない。この高校に来たいと言ったときも「行ってもいいけど、卒業したら就職するんだよ」「うん、わかったよ」みたいなやりとりはなく、親にかかる負担の割に、すんなり許可をもらってしまった。それから、卒業後の自分の身の振り方を考えないまま今に至る。

約束を重荷に感じることもあるだろう。守らなければ信頼を失ってしま ったり、わからないけれどきっと商談がなくなったりしてしまうんだろう。万が一約束を守れなかったときのことを考えると、私は約束なんてしたくない。こんな具合だから今まで大きな約束をしないで来られたのはとてもラッキーだったように思える。今まで生きてきて、約束をしたことがない奴のような書き方をしたが、実際はそんなことはない。雇用や婚姻といった法的な約束とはあまり縁がないが、学校に通う以上、人間関係は生活と切っても切れないものだ。遊びに行く約束、またその待ち合わせ、物の貸し借り……約束することが億劫な私でも、約束する機会はごまんとある。そしてその分、約束を守れないことも増える。そんな無数の約束を思い返すと、失敗の記憶ばかりだ。約束を破ってしまった時の感情のバリエーションならなかなか負けない自信がある。待ち合わせに寝坊して遅刻したり、約束の存在自体を忘れていたりとひどいものだが、反省はするのだ。忘れるたびに「次は絶対に忘れない」と頭の中で反芻する。

なんだか約束について考える度に、どんどん約束というものを嫌いにな っている気がする。しかし「約束したくない」が究極までいってしまうとたぶん働けなくなるので、失敗を恐れ過ぎてはいけない。約束せずには生きていけないと気づいてしまったからには、諦めてこれからも約束をし続けるしかないのだろう。

文:吉井萌々子

 

プロフィール

吉井萌々子 | Momoko Yoshii

千葉県出身の現在高校3年生。ネットサーフィンが趣味。年齢を重ねる度に虫が苦手になってきていて悲しい。周りから見てきちんとした大人にはなれそうにないので、自己満足を重ねて充実感を得る生活に憧れている。

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