北星余市を紹介、生き方を考えるウェブマガジン
デザイナー
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小髙梨乃
RINO KOTAKA
一日の終わりに、その日あった出来事や思ったことを日記に書いている。すぐ飽きると思っていた日記が続いているのは、学生の頃に好きだった「先生の机」を思い出したからだ。
先生の机の引き出しを開けたことがある。そこには、ケーキの底に敷かれている金色のプラスチック製トレーが大量に入っていた。机の中にそんなものがあるのかと驚いた。先生は、自分が趣味でつくったコラージュ作品の額縁として使うために集めているのだと教えてくれた。その発想に心を動かされたと同時に、机に置かれたものから、その人のことが見えてくる面白さを知った。それから先生の机が好きになり、時々、机の上に置かれたものをスケッチブックに描いていた。
「先生の机が好きだった」という気持ちを、長い間忘れていた。心を動かされた記憶は、いつの間にか遠ざかってしまう。だから、日記を書く。先生の机が、その人を映していたように、日記もまた、その日の自分を映してくれる。自分が何を面白いと思い、何を特別だと感じたのかを書き留めること。未来の自分が、今日の自分にもう一度出会えるよう、今夜も日記をつける。
文:小髙梨乃、イラスト:瀬尾涼音
小髙梨乃 | Rino Kotaka
星しんぶんを制作する有限会社3KGのデザイナー。札幌市立大学デザイン学部15期生。自主制作として、不定期でフリーペーパー『集合体』を発行。アナキズムの視点から生活を見つめ、文章や散文を執筆している。