恋って難題

2022.12.15 コラム

キャリアコンサルタント、公認心理師

山名徹

TORU YAMANA

札幌市若者支援施設Youth+(ユースプラス)と北星余市高等学校が連携を始めて、10年になる。相談支援や校内居場所づくり、就労体験など、互いのニーズや強みを生かし、若者が自分で自分の生き方を選択するためのきっかけを提供してきた。そのパートナーである北星余市の髙崎さんや今堀校長からの依頼であれば、もちろんYesであるが、今回は「恋をテーマとした作文」……。それからというもの、移動中に恋のことを考え、食事の合間に恋のことを考え、夜中に目を覚ましては恋のことを考え、そう、まさに恋煩いである。

もうどうしてよいかわからず、「三谷幸喜 アイデア」「秋元康 作詞 場所」「阿久悠」「フワちゃん 恋」検索に明け暮れた。その結果、私が活路を見いだしたのは、ホテルや旅館での原稿作成であった。不安と期待と恋を胸に、私はひとり新千歳空港温泉に向かった。

恋のみならず、心から湧き起こってくるさまざまな感情を自分の人生に取り入れるためには、異なる世代や生まれ育った場所、職業、ライフスタイル、趣味を持つ人との触れ合いや、同じ経験や境遇にある人との出会い、未訪問の土地の歴史や文化を感じることが重要だと思う。そのことはやがて、自分の感情に対する適切な言葉を手に入れることにも、相手の心の機微を感じ取れるようになることにもつながる。

まさに、北星余市の教育の中心にある「子どもたちを集団の中で育てる」「クラス民主主義」「人間関係づくり」という考え方だ。全国から異年齢の生徒が集まり、教師や保護者、寮や下宿の管理人さんが一体となった育ちの場において、豊かに養われるのだと思う。なんだか、若者支援施設におけるユースワークを語っている気にもなってきた。だから北星余市とはよきパートナーなのかもしれない。

さて、恋は自分や自分に関わる人の人生を豊かにするというのが現時点での結びであるが、食事処に移って続きを考えよう。「そんなに簡単ではない」恋もそう言っている。

文・写真:山名徹

 

プロフィール

山名徹 | Toru Yamana

2002年大学卒業後、公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会に入職。勤労青少年ホームでの勤務を経て、現在札幌市若者支援施設にて「地域若者サポートステーション事業」を担当。キャリアコンサルタント、公認心理師。趣味はワイナリー巡り。

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