人は友という
鉄を知ることで
研磨される

2022.07.19 コラム

北星学園余市高等学校校長

今堀浩

HIROSHI IMAHORI

星しんぶんをご覧の皆様、こんにちは。2022年4月より、北星学園余市高等学校の校長に就任した今堀です。コロナによる影響も小さくなってきたように感じますが、まだまだ学校生活には制限が残っています。そんな中、できることを探しながら本校が大切にしている「人と関わる」機会を通して、生徒たちは成長をしています。

5月下旬に行われた「1年生研修会」は、参加した1年生にとってさまざまな発見の機会となったはずです。これまで関わることのなかった同級生や生徒会執行部のメンバーを知ったり、「やってみたらおもしろかった」という発見がいくつもあったことでしょう。

聖書の言葉「鉄は鉄をもって研磨する。人はその友によって研磨される。」の通り、私たちは人の中で成長する体験を大切にしています。「一人でいるほうが楽」「他人と関わるのは面倒くさい」と言ってしまうほどの経験をしてきた子も少なくありませんし、そう考えてしまうことも理解できます。他人は思い通りに動かないですし、いちいち説明しなければなりません。自分を思い通りに扱うことでさえ難しいのに、ましてや他人をどうこうするなんて大変です。

しかし他者と関わることで世界が大きく広がることも真実です。先程の聖書の一節でも「研磨」という言葉が使われています。自分の中にあるデコボコが滑らかになったり、くすんでいた部分が光ったり。そういう変化は、周りからの指摘や評価の過程で磨かれるからです。他者との摩擦は楽しいことではありませんが、そのしんどさを避けて通るわけにもいかないのが人です。そうであれば、多感な思春期にいろんな価値観に触れながら、今までとは違う物差しを手に入れるような時間を過ごしてほしいと願っています。人の評価は時代や環境によってコロコロ変わります。これから先、人を評価する物差しの種類をひとつでも多く増やしていくことが大切です。素材も色も硬さも違う「鉄(価値観)」を知り、その鉄によって研磨されながら光っていってほしいと思います。

※ 聖書 新共同訳 箴言27章17節

文:今堀浩‏/写真:辻田美穂子

 

プロフィール

今堀浩 | Hiroshi Imahori

1991年より北星余市高校に勤務。今年から校長に就任し、行動半径は縮まったが、頭がついていかない毎日。特にたくさんの人の前での挨拶が苦手だと痛感。週に1回の総合講座で海や山に行くことが気分転換。

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