「これをやるのだ」という
自分との約束

2021.03.06 コラム

教育ファシリテーター・Demo代表

武田緑

MIDORI TAKEDA

日々生きていく中で、私たちはいろんな人といろんな約束をする。会う約束、なにかを一緒にやろうねという約束、いつまでにこれを終わらせますねという締め切りについての約束、このルールを守りましょうねという約束、などなど……。約束したことに厳格な人もいれば、ゆるい人もいる。私自身は、たぶんだいぶゆるいほうだ。なるべく周りの人たちに大きな負担をかけることは避けたいとは思ってはいるが、大目に見てもらいながら甘えて生きている(ありがたや)。「弱さ」や「できなさ」を許容し、フォローし合いながら、助けてもらっている分、「自分にできること」で相手に貢献し、支える。そんなコミュニティを築けたらと思う。ちなみにこのゆるさが許容される範囲は、所属している組織や、コミュニティや、社会の文化によって結構違う。ある学校や、ある会社や、あるコミュニティでは、厳しく糾弾されることが、違う場では「まあ」と許されたりもするのが不思議だ。海外にいくと、こういうことはしばしばカルチャーショックとして経験される。日本の基準では相当ゆるい私も、例えば中南米なんかにいくと、「いや、約束守れよ!」とイラッとしたりするので、おもしろい(笑)。

そんな私だが、特に大切にしている約束もあるなと思い至った。約束を表す英語はいくつかあるが、その中で言えば「Commitment」。「これをやる」「このことに責任を負う」という自分自身との約束だ。“責任”などと言われると、反射的に「嫌だな」「しんどいな」と感じる人も多いかもしれないけれど、ポイントは自分の意思でそこに関わり、関わった結果を引き受けると決めること。私の場合で言えば、「日本の学校をもっと民主的な場にすること」や、「個人が尊重される社会をつくること」や、そのための1つひとつの活動にはコミットしている。

何かにコミットするというのは、「このことは、自分の手の中にあるんだ」という感覚を持つということではないかと思う。私の人生は私がつくっている、私たちはこのことを変えられる、そういう希望と裏表だと。そう、だから、何かにコミットして生きることは、たぶん楽しいことなんだ、私はそう思う。

文:武田緑

 

プロフィール

武田緑 | Midori Takeda

教育ファシリテーター。Demo代表。多様な教育を学ぶスタディツアー・EDUTRIPや、教育の博覧会・エデュコレなどを主催。教育関係者向けの研修や執筆も行う。人権・同和教育、シティズンシップ教育、“多様な学び” などが活動テーマ。

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