逃げるための嘘と
戦うための嘘

2020.12.16 コラム

ネイル練習中の高校3年生

朝倉 侑輝

YUKI ASAKURA

嘘とは私にとって自分自身の人間性を表すものであり、同時に、生きていくために必要不可欠なものです。そして嘘は、自分自身に向けてつくものです。嘘をつくというと、他人へ向けて発信されるものが最初に目につきますが、生活を振り返り、よくよく見直してみると、他人ではなく自分自身に向ける嘘があることに気がつきます。

自分に嘘をつくというといまいちピンとこないかもしれません。例えば、本当はやりたいのに勇気が出ないとき、やりたくない理由をつけて、できないのではなくやらないんだと主張する。この場合、自分に嘘をついた部分は、お分かりの通り、やりたくない理由をつける、つまり勇気が出ない自分に目をそらしたというところです。自分と向き合わず、都合の良い方へ流されていくこのような嘘は、言うなれば「逃げるための嘘」です。これは誰にでも起こり得る、身近な嘘だと私は認識しています。自分への嘘があまりピンとこなかった人たちも、この「逃げるための嘘」で思い当たることがあるのではないでしょうか。

「逃げるための嘘」とは対照的な嘘もあります。それは「戦うための嘘」です。この嘘を先ほどの例に当てはめるなら、勇気が出ないからやらない、ではなく、自分なら大丈夫だ、自分にはやりたいことをやる勇気があるんだと自分を信じ、やりたいことに立ち向かうという感じです。「戦うための嘘」は、逃げるためではなく、困難であるからこそ一歩踏み出すために自分につきます。つまりこの嘘は挑戦であり、勇気そのものでもあります。だから同じ自分につく嘘でも「逃げるための嘘」とは全く違った景色が広がっているでしょう。

さて、そんな自分自身につく嘘たちですが、私は別に「逃げるための嘘」はいけないと言いたいのではありません。私はこの文を通して自分につく嘘は、その人の人間らしさの一部であり、成長し生きていくうえで絶対に欠かせないものだと感じてほしいのです。

文:朝倉侑輝/写真:辻田美穂子

 

プロフィール

朝倉侑輝 | Yuki Asakura

愛知県出身。サッカー、ゲーム、アニメ、音楽が好きな高校3年生。最近は友達にしてもらったネイルにハマり、道具を買って練習中。特徴は「なんとかなる」で計画性の無いまま行動し、上手くいくことも痛い目を見ることもある。

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