正直は強みになる

2020.12.16 コラム

オンライン家庭教師・カウンセラー&カメラマン

山口真央

MAO YAMAGUCHI

私は小さな頃から嘘が苦手だった。嘘をついた瞬間からいつバレるだろう、バレたらどうなるだろう、嘘つきだと思われる、私の言うことは誰も信用しなくなる、とバレた時のことばかり考えてしまう。そしてその日は眠れなくなり、何ヶ月か経った後も心の隅に不安が残る。嘘をつく時は大体自分の為なのに、その自分が一番しんどい思いをするなんておかしい。そう思うと嘘をつくことが面倒くさくなった。そんな風に考えていたら、話すことも表情も行動も正直過ぎて苦労することもあった。でも嘘で自分を責めたり、自分に嘘をついて疲れるよりはずっといいなと思うことにした。

フリースクールや家庭教師で子ども達と接していると、子ども達はとても嘘に敏感だと気付いた。「困るのはあなたって言うけど、自分が困ってるんだよね」「わかると言いつつわかってないよね」「先生だってやりたくない顔してるのに、ごまかしてる」なんて話を聞く度に、大人にとっては子ども達との距離を縮めるためだったり気遣いの言葉でも、子ども達にとっては立派な「嘘」で、不信感を抱くには充分な材料なのだと感じた。
その一方で聞かれたことに正直に答え、自分の感情を見せ、相手にも自分にも嘘をつかずに過ごしていると、「大人がそんなに正直に生きていていいの?」と言いながらも、子ども達も心を開いていってくれたように思う。人は鏡のようで嘘をつく相手には本当の気持ちを話さないし、正直な相手には本当の気持ちも自然と見せるようになる。私にとって嘘をつかないことは自分の為だったけれど、気付けばそれが子ども達との関係を作る武器になっていた。自分と人に嘘をつかない正直という強み、大切にしていきたい。

ところでフリースクール時代に嘘をつかねば成立しない人狼ゲームが大流行した。試しにやってみたら「嘘がうまい!」と褒められたけれど、やっぱりモヤモヤしてそれ以来私はゲームマスター専属だ。ゲームマスターという役職を作った人には本当に感謝している。

文・写真:山口真央

 

プロフィール

山口真央 | Mao Yamaguchi

北海道帯広市出身。自分自身の不登校をきっかけに不登校や人の心のことを考える。大学卒業後はフリースクール支援員として8年間子ども達と過ごす。現在はオンライン家庭教師、オンラインカウンセラー、カメラマンとして子どもと関わりを持っている。

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