いくらでならやる?

2020.07.20 コラム

放課後英語教室「ひね塾」主催者

伊藤葉子

YOKO ITO

こんにちは! さあ、お入りなさい! あなたは何万年も冷たい岩場で住んでいた、寂しがりやの悪魔さん。あなたと私は似たもの同士。私はパンツをはき忘れ、あなたは真っ赤なお尻が見えている。さあおいで! でも気をつけて、そこには涙の水たまり。3年前に泣いてたの。1年かけて泣いてたの。って感じの文章だったかな、はじまり部分は。うんと昔の事なので違ったかもしれない。私は「書く」って遊びにハマってた時に、詩と称してネットでいくつも作品を発表してた。同時にイラストを描くって遊びや、フィルム写真を撮るって遊び、アニメーションを作る遊び、カフェで延々と道行く人を観察する遊び、もちろんファッションも遊び、坊主頭でミニスカート、右と左違う靴。

遊びってすごいのは、いくらお金を積まれてもやりたくないような事を無償でやってしまうところ。何時間もモニターに向かって、夜も寝ないでヴァレンタインカードをアニメーションで作って、どうよどうよと知り合いに送ってたり、仕事休みの日は1日中カフェに座って詩とかイラスト書いてたり、古着屋を何件も巡って片方ずつでちょうど素敵に履けそうな靴を探したり。いくらでならやる?

もっと昔、鬼ごっこで遊んだ時、あんな苦しくて辛い走り込みをなん
で好んでやってたのか。叔父がやってた塾の黒板一杯に何時間もかけてチョークでお絵描きして、困った顔にも気づかずに消さずに満足顔で帰った小学時代。国語の時間、文豪たちの顔を教科書に描いて、変な事吹き出しで喋らせた中学時代。映画雑誌の写真を切り貼りして、超絶凝った日直日誌にした事もあった。遊びだからやった。遊びの力は強力だ。どんなエナジードリンクよりも効く。あなたの遊びだからと、ふざけつつも大真面目に取り組んだ物って何ですか?

文:伊藤葉子

 

プロフィール

伊藤葉子 | YOKO ITO

大阪出身。放課後英語教室「ひね塾」主催者。時々イングリッシュカフェ@北星余市のオーナー。中学卒業後渡米。ラグナヒルズハイスクール卒業。そのあと又渡米。ニューヨークで暮らす。約12年のニューヨーク生活の後、子育ての環境を考えて北海道余市町へ。

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