はたらくこと

2018.12.15 コラム

人の人生に熱狂する22歳

三浦宗一郎

SOICHIRO MIURA

「働く」という言葉に、多くの人が嫌な気持ちになるのではないだろうか。まだ働いたことのない若者も、社会人として働いている大人も、だ。間違いなく18歳の時の私は、そうだった。

愛知県の高校を卒業し自動車工場に就職した。いわゆるライン作業で、毎日同じ車に同じ部品をつけ続けるという仕事だ。夜勤もあり、決して楽とは言えない仕事。朝は起きたくないし、夜は寝たくないし、月曜日がやってくるのが憂鬱だった。週末だけを楽しみに働いた。相談しようと思っても周りもそんな感じだったから、相談してもしょうがないと思っていた。「仕事は楽しくないもんだ」と、自分自身を納得させることで毎日を乗り切った。

そんな私の毎日を大きく変えるキッカケとなる出逢いがあった。その方は、ずっと夢であった飲食店の開店資金を貯めるために沖縄から3ヵ月間だけ、私の職場で働いていた。そして、私と同じ仕事を非常に楽しそうにしていた。鼻歌を歌いながら、笑顔で働いていた。私はその方に質問をした。「この仕事って、楽しい仕事なんですか?」その方は笑顔でこう答えた。「この仕事が楽しいかはわからない。でも、どうせやるなら楽しみたいんよ」。衝撃的だった。私は「仕事」を「つまらないこと」だと決めつけて働いていた。その仕事を楽しもうとする姿勢が全くなかったのだ。

その日から、私はその仕事を楽しむことに全力を尽くした。大きな声で挨拶をして、積極的にコミュニケーションをとった。少しでも早く仕事ができるように工夫をした。周りを楽しませられるように自分が楽しんだ。その日から、人生は明らかに変わった。仕事は変わっていない。自分が変わったんだ。

あれから3年経ち、私は転職し昔からの夢であった「人に関わる仕事」をさせてもらっている。仕事の中にも楽しくなさそうなことは沢山ある。でも、見方を変えるだけで、楽しくなるから不思議だ。「社会は厳しいぞ」って、働くことの大変さを教えてくれる人は沢山いる。「社会は楽しいぞ」って、働くことの喜びや、素晴らしさを教えてくれる人が増えたらもっと素敵だ、と思う。“はたらく”って、“はた(側)”を“らく(楽)”にするという言葉が語源だと聞いた。本当かはわからないけど、その通りだと思う。全ての仕事は、誰かを幸せにするためにあると思う。“はたらくこと”は、最高だ。

文・写真:三浦宗一郎

 

プロフィール

三浦宗一郎 | SOICHIRO MIURA

旅とサウナとカメラが好きです。人の人生に熱狂する22歳。

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