良いものを拾おう、普段の様子 2018.2.13

卒業礼拝 北星余市での3年間

卒業を目前に控える3年生から見た「北星余市」という場所とは・・・

こんにちは。
みなさん、3連休ゆっくり出来たでしょうか?
北海道では、札幌雪祭りや小樽雪明りの路などが開催されていました。近くに居ながらも、雪祭りは1回だけ、雪明かりは1回も行ったことがありません。
せっかく居るのだから勿体ないですね。是非、来年こそは、、、行こう、、、かな?

さて、現在だいぶタイムラグがあるこのブログですが笑、今日は5日に行われた卒業礼拝の様子をお届けしようと思います。
この卒業礼拝では、毎年3年生の生徒1人が、自身の感じてきた事、経験してきた事、様々な思いを全校生の前で話してくれます。
1.2年生にとっては、残りの学校生活の過ごし方について見つめ直したり考えたりするキッカケにもなったでしょう。
3年生にとっては、この3年間の辛い事や楽しかった事、この余市に来た時の事、そしてそれから3年が経ち卒業を目前にしている自分自身の事や、周りにいる仲間達の事など、色んな情景が頭に浮かんだのではないでしょうか。
今年、卒業礼拝をしてくれた3年生の羽賀くんに許可をもらい、全文掲載したいと思います。
初めは卒業さえ出来ればいいと入学した北星余市、途中までは自ら学校を楽しもうとはしていませんでした。でも、それから生徒会に入り卒業したくないと感じている今。
その心境の変化や後輩達に伝えたい事、羽賀くんのありのままの思いを是非みなさんにも知ってもらいたいです。


3年B組 羽賀くん 卒業礼拝
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長かったようで、あっという間だった三年間。この三年間の中でいろんな事があった。

僕は普段よく分からない人だとか、関わりにくそうだとか、性格悪そうだとかそんな印象を持たれがちだ。自分の事を話すこともほとんどない。だからここで、入学する前の自分から、卒業間近の今に至るまで北星で過ごしてきて思ったことなどを全部話したいと思う。

中学校の頃から学校へ行かなくなり、友達とずっと遊んでいた。当然親ともうまくいかなくなり、施設に入れられた。二度と施設に戻りたくないと思ったが、また学校に行こうとは一切思わなかった。昔の自分にとって施設に入った事は、全く意味の無い事だった。その後、地元の高校を受験したが、まともに通うつもりなんてなかった。親が高校に行けというから受験しただけ。施設に戻りたくなかったから受験しただけ。それだけの事だった。
一ヶ月くらいで退学して、仕事を始めた。仕事を始めたのは遊ぶお金がなかったからだ。

そんな自分だったがずっと不安だった事がある。それは将来の事だ。
自立した後、安定した生活が欲しい。
大金持ちにならなくてもいいから、普通に生活していきたい。
しかし、中卒で何もない自分がうまくいく訳がない。ずっと心の底でそう思っていた。何年かたって親にそのことを話してみると「高校に行け。お前がもう一度頑張るなら支えてやる。」と言われた。
僕はそこで高校に行くことにした。次は卒業しようと思った。それで僕は北星に行くことになった。
しかし、知らない場所で、知らない人達に囲まれて生活するのはとても嫌だった。卒業さえできればそれでいい。学校生活を楽しもうとも思わない。友達も、話す相手も必要ないと本気で思っていた。

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そして、ついに入学式が来た。三つダブっていたこともあり、正直皆、幼く見えた。「こんな所で三年間過ごさないといけないのか。」なんて事を考えると、ため息がでた。
そのまま何ヶ月がたっていき、周りの人間が楽しそうに話してる声がうっとうしくなってきた。毎朝、学校に登校して、授業に出席して、提出物を期限内に提出して、テストはそれなりの点数をとれるぐらいに勉強しているだけ。何も楽しくなかったが、自分から学校を楽しみたいとは思わなかったし、卒業するためだから仕方ない事だと思っていた。
学校ではこんな感じで過ごしていたが、下宿生活は楽しんでいた。似たような趣味を持った人が何人かいたり、五十期の先輩たちがとてもいい人だったからだ。ゲームしたり、誰かの部屋にいたずらしたり、一緒にコンビニに行ったりして、下宿の皆とは、仲がよかった。みなと下宿に来てよかったと思った。

ある時、同じクラスのゆうし君に「羽賀くんは、勉強とかいろいろ普通にできるし、大人だし、良い人だし、こんな高校に来る人とは思えない。」と言われた。ゆうし君は僕の事を褒めてくれた。まあ、確かに学校でやることはきっちりこなしていた。でも褒められたことに関しては、罪悪感のようなものを感じた。褒められても嬉しくなかった。

学祭の時、僕は大きなゾウを作る担当になった。しかし、同じ担当の人はサボってばっかりだし、後で手伝いに行くよ、とか言ってた人も来なかった。それでも僕は一人で放課後も残って作業を続けた。そんな行動がゆうし君の目に止まったのかもしれない。普通ならイライラするような場面だったが、僕は全く気にならなかった。
理由は、周りの人を心底どうでもいいと思っていたからだ。その人達には、最初から期待してなかったし、どうせこうなるだろうと思っていた。むしろ邪魔だと思っていたかもしれない。

入学してからずっと北星にいる人間に対しては冷めていた。こんな気持ちを外に一切もらさず、最初の一年間をすごした。結果、クラスでは浮いていた。

二年生になって、担任に学級委員長や生徒会をやってみないかと言われた。僕のどこを見てそう言ってるのか気になった。北星に入学してから一度も素を出していない。いわゆる猫をかぶっているようなものだ。担任は僕の事を勘違いしているように見えた。でも、何か自分の事を評価されているようで嬉しかったし、自信になった。僕はそのまま流されていくように学級委員長と生徒会をやった。
生徒会に入ってからは、人と関わる機会がとても増えた。特に生徒会メンバーとは、毎日会議していたから、とても仲がよくなったと思う。
生徒会は大変だった。朝、皆より少し早く学校に行って、帰ってくるのは8時くらい。でも自分の中で大変さよりも、楽しさのほうが断然勝って(まさって)いた。

それまでは、学校なんてつまらないものだから、行かなくていいなら行きたくないと思っていたのが、このあたりから明日誰かとくだらない話で笑ったり携帯のゲームを一緒にやったりするのかなーと想像するようになり、少し学校が楽しみになっていった。気軽に話せる友達はめちゃくちゃ増えた。先生とも話すようになった。

やっと北星が自分にとって居心地のいい場所になってきた。そんな風に思えてからは、楽しいことばかりだった。行事は当然面白いし、ただの授業ですら面白い。

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三年生になってからは、周りの人をよく見るようになった。前は興味がなかった人とも、話をしてみたいなーとか思うようになった。周りの人も、一年の時と比べれば、とても変わっていた。よく笑うようになった人、授業に真面目に取り組むようになった人など様々だ。

三年生は、全ての行事が最後だから、皆全力をだしていた。僕はスポ大に一番全力だった。最後だから絶対優勝したかった。練習もたくさんした。僕たち3Bの男子バレーは、ずっと負け続けていた3Aに勝つ事が目標だった。本番はけがで出れなかったけど、練習で一度だけ3Aに勝った。その時、チーム全員が大喜びしていた。3Aに勝つことなんて諦めかけていたが、「これならいける!」とみんなが思っていただろう。ただの練習だったが全力で戦って勝ちとった貴重な「一勝」だった。
誰も気づいてはいないだろうが、その光景を間近で見ていて、僕は泣きそうだった。
知らない人がほとんどだと思うけど僕は意外と涙もろい。いろいろな思い出が詰まったこの学校の卒業式では、確実に泣いてしまうだろう。

この場では話し切れない程の思い出がまだまだたくさんある。この原稿を書くために北星で過ごしてきた記憶を遡ると、本当に、この学校に来て良かったと思った。
いっつも、つまんないなーとかだるいなーとか口癖のように言いながら過ごしてきたが、まだこの学校を卒業したいとは思わない。
三年間、共に過ごしてきた人たちとの時間を忘れたくない。

最後に、一、二年生にはこの学校を思いっきり楽しんで欲しい。楽しむことさえできれば、北星余市以上に最高の高校生活を味わえる場はどこにもないと思う。
僕は一年半くらい、無駄にしてしまった。今では、とても後悔している。学校が楽しくないと感じる人は、誰かに話してみるといい。先生や友人や先輩、それか僕でもいい。必ず助けになってくれるはずだ。僕は、この学校をそういう温かい場所だと思う。今まで辛いことがあった人や、僕のように冷めきっていた人でも、全ての人が居心地がいいと思える場所、それが北星余市だと思う。


「やっと北星が自分にとって居心地のいい場所になってきた」
それは周りや環境が変わったからではありません。羽賀くん自身が周りに対しての物事の捉え方や見方が変わったからだと思います。
人は何を見ているかで変わると思います。
起きている出来事は同じ。目の前に起きた出来事をどう受け止めるのか。どう感じてどのように動くのか。はたまた、動かないのか。
羽賀くんはそれが出来たから途中から学校が楽しくなったのかもしれませんね。

羽賀くんも最後に言ってくれています。
「この学校を思いっきり楽しんで欲しい」と。。
本当にそうです、その通りなんです。3年間なんてあっという間です。あとで後悔しても遅いのです。
一歩踏み出したいと思っているけれど、踏み出すのがちょっと怖いと思っている人。
本当はこれをやってみたい!と思っているけれど、なかなか出来ないでいる人。
なにかあったら必ず誰かが手を差しのべてくれるはずです。

「楽しむことさえできれば、北星余市以上に最高の高校生活を味わえる場はどこにもないと思う」

羽賀くん、たくさんの言葉をありがとう。
3年生のみんな、あとちょっとで卒業ですが最後の最後まで余市での生活思いっきり楽しんでくださいね!

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