経験を豊かにする、イベントや取り組み 2019.11.21

54期 修学旅行報告(2日目)

修学旅行2日目の様子。今日のスケジュールは、平和学習を中心に。

今堀 浩

昨夜は気分が盛り上がって夜遅くまで騒いでいませんでしたか?しっかり眠れましたか?

ということで、修学旅行2日目です。この日は、平和学習をメインに行程が組まれてます。

朝は6時に起床。ホテルのレストランの関係でクラスごとに朝食を食べることになってます。バイキング形式なので、食べたいものを食べたいだけ。しかも朝からしっかり食べる生徒の多いこと。今年の旅行団の元気は、こういうところから来るんですね。時間いっぱいまで食べている生徒もいたほどです。

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出発前にホテル前で元気な様子を一枚。天気も良くて、朝から太陽を満喫!!

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バスに全員そろったら出発です!

最初の訪問地、「轟の壕」に到着です。AB組、それぞれガイドさんについてもらい中に入ります。

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狭くて急な斜面、頭をぶつけないように気をつけて下っていきます。狭くて、ジメジメして、暗くて。

いちばん奥に到着してから、持っているライトを全て消してみました。隣にいる人の姿どころか、自分の手も全く見えない漆黒の闇を2分ほど体験しました。「人間は、終わりが分かっていると我慢できることが多いのです。後10分、あと1ヶ月という終わりがあることで、乗り越えられたりできます。だけど、このガマに逃げ込んだ人たちは、いつまでこの状況が続くか分からない中で生活をしなければならなかったのです。これは本当につらい状況だったといいます」とガイドさんから。11月になっているにもかかわらず、蒸し暑い感じがしています。空気もよどんで、こんなところに何百人もの人達が、いつ終わるともしれない恐怖と背中合わせで過ごしていたんですね。

闇、湿気、戦闘、飢え、恐怖。そんな極限状態の一端に触れた時間でした。

 

次は「ひめゆり平和祈念資料館」。

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戦争体験者の手記、映像に見入る生徒の姿があちこちで見られました。いろんな学校の生徒も来ていたのですが、手記を読むコーナーに北星余市の生徒がごそっといた時間がありました。ゆっくりと見たかったという生徒もたくさんいました。しかし、昼食時間も迫っているなかで駆け足にならざるを得ず、物足りなさが残った生徒もいたようです。同年代の女の子が、生き死にの境界線を渡り歩き、最後は「今ここで解散する。このあとは自分でなんとかしろ!」と戦闘のまっただ中に放り出されるわけですから。それがもし自分だったらどうしようと。ケガをした友達を捨てて逃げなきゃいけないとか、生きることを諦めて死ぬことだけを考えている自分とか。そういうことに心痛めて、平和や戦争を考える材料になった生徒がたくさんいました。

 

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この日の最後の訪問地は「平和祈念公園」と「沖縄平和祈念資料館」です。

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平和の礎を見ながら祈念公園に向かいます。全員で並び、実行委員の平和班で作り上げた「平和宣言」を読み上げました。そして、54期みんなで折った千羽鶴は、資料館の中にある奉納場所に届けました。

 【平和宣言】

 私たちは平和の中で生まれ、平和の中を生きています。平和で安全の中を生きてきたので、戦争の残酷さを知りません。知らないでいることは、戦争が忘れられていくことだと考えています。

 戦争の悲惨さが忘れられていくことは、戦争を知らない私達がまた戦争を繰り返し、やり場のない怒りや悲しみを抱え、生きていくことになりかねません。そうなる前に戦争をよく知り、戦争を忘れずに絶対に繰り返さないよう、戦争を知らない世代が学んでいく必要があります。

 74年前、日本で唯一の地上戦が行われていたのがここ沖縄です。戦争によって約20万人もの命や住んでいた家、長い歴史の中で培われてきた歴史や文化を失ってしまったこの地は、戦争の悲しみをよく知っている土地です。

 戦争が起こっていた場所に戦争に深く関わる基地を作るのか、すでに基地があるのになぜ新たに基地を作ろうとしているのか。日本に基地があることで、日本が他国へ攻撃する事になり、戦争の加害者になってしまいます。

 戦争をすることで何もしていない市民まで理不尽に巻き込み、多くの人を不幸せにしているのかを忘れてはいけません。戦争をしないように願う気持ち、平和であることのありがたさを忘れず平和を学び、考え、未来へ繋げていくことを宣言します。

北星学園余市高等学校 55期修学旅行団

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資料館に移り、沖縄平和ネットワーク事務局長の北上田源さんからお話を聞きました。生物学の観点から辺野古の問題点を話してくださったり、沖縄にとっての慰霊の日を紹介したり。

「大学の時、戦闘体験者から話を聞くという課題が出た。自分は京都出身なので親戚もいないから、お世話になってる商店のおばあに聞こうと思った。『戦争の話を聞かせてください』とお願いをしたら、そのおばあがしばらく黙っていたけど、うっすらと涙を流しながらぽつりと『戦争の話は、もういいさぁ』とつぶやいた。その時、本当に衝撃を受けて、きちんと戦争のことを知ろうと思った」と、活動のきっかけとなった出来事を話してくれました。

そのおばあはどんな体験をして、北上田さんからお願いされた時にどんな思いで「もういいさ」のことばをつぶやいたのか。見ず知らずの関係ではない若者から戦争体験について問われ、本当はその問いかけに応えたかったのではないかと思います。その気持ちもくみつつ、でも応えられない自分の感情と。その涙の意味は、とても深いものではないかと。人それぞれの受け止め方ができます。生徒たちはこの話からどんなイメージを持ったでしょう。

 

今日の日程を振り返ったある生徒の感想です。

 まず最初に行った場所は、ガマです。あの空間に500人とかいたと思うと、とっても深刻だと思いました。僕個人的に思うことは、戦争をしても何も意味がないと思います。長年戦い続けていても意味がないので、もう二度としてほしくないです。

 そして次に行った博物館(ひめゆり平和祈念資料館)では、本を少ないですけど3冊読みました。その中でも一番感動したのは家族が目の前で殺される話しです。とってもしんどいなって思います。こんなことが起きないように祈ります。

実際にガマの追体験を味わったり、その場でいろんな資料や映像と合わせて手記を読んだり話を聞いたりすることで見えるものってありますよね。それを体感することができたようです。

ホテルに戻り、今日も自由に夕食を食べに行きます。そして国際通りでお土産が買えるのも今日が最後。みんな、楽しんできてねー!と送り出し。

実行委員会は、今日も開かれます。今日の反省。明日の確認。気づいたこと。

今日も丁寧に一つずつ確認を取り合いながら進めています。時間はかかるけど、ここで丁寧にやっておくことで、20人以上の実行委員が同じ視点で動けるからね。眠たいけど、がんばれ〜!

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