やってみることが、新たな世界を開く。
「何かしたいねー」から始まった活動。
様々な取り組みが生活を豊かにしてくれる。

2016.12.12 在校生

50期3年生

長田 宥也

OSADA YUUYA

クラスのことはもちろん、花壇の整備をしたり、ボランティアに参加したり、職員室の水槽を洗ったり、写真部の活動をしたり。とにかく勢力的に学校生活を謳歌している3年生の長田くんに、その取り組みについて聞いてみました。

INTERVIEW

在校生キラ星インタビュー

ーー 長田くんは、この3年間でいろんな活動に参加したり、自分で取り組んでいたけれど、きっかけはなんだったの?

僕はこの高校に20歳で入学しました。年下嫌いだったので、自分の考えを 180度変えてないと…と覚悟をしてました。入学当初は、喋りかけてきてくれた子からだんだんと仲良くなっていった記憶があります。

そんな子たちと「何かしたいねー」って話になって、余市の海に毎週ゴミ拾いにいくようになったんです。1回目はゴミ袋を9個3人で学校まで持ち帰ったのを覚えています。浜からゴミ袋を持って国道を歩いていました、笑。2回目から用務員さんのご好意で壊れたリアカーを直してもらい、リアカーいっぱいにゴミ袋を積み上げていました。その流れから、ボランティア局の土日のボランティアにも行くようになって、しゃべる人がだんだんと増えていきましたね。

あまり関わりのない子に「参加しない?」と声をかけた時「いいよ」と言ってもらったときは、心強かったですね。そうやって、一緒に参加してくれることが何よりも心強く、そこでみる年下の姿はすごくカッコよく見えました。そうやってだんだんと仲間が増えていって、何をやりたいかとかみんなで考えるようになっていきましたね。

 

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ーー そのあとはどういう展開になっていったの?

声掛けや次の企画などの話し合いは、だいたい職員室のソファで行われていましたね。話している内容に対して、近くにいる先生があれやこれやとチャチャを入れてきて。そんな感じだったので、自分たちだけで動いているというよりは、見守ってくれている先生たちと一緒に動いているなって感じでした。いろんな先生に「えらいね」って言われて、かなり心にしみました、笑。

浜でゴミを拾うのも飽きてきたときに、教頭先生が「玄関前の花壇をキレイにしませんか?」と全校生徒に呼びかけていて、それに参加したことが大きなきっかけになりました。そこから花壇改造計画は自分たちの活動の決め手となったんです。

花壇の雑草を取り、土も掘り起こし、花の配置や花選びなどを、参加メンバーで考えて楽しくやらせてもらいました。そこでハーブを植えることになって、NPO法人余市教育福祉村(以下、教育福祉村)でハーブを育てている瀬川さんに専門家として色々とアドバイスをいただいて、1年目の花壇は出来上がりました。

一方で、僕は趣味として写真が好きでして。だから、写真部にも入ってメインで動いていました。1年生のときは、この地域の地理を知って、自分たちの住んでいるところの情報を得ながら、美国、余市、小樽あたりに友達と一緒に撮影にいきました。見せ場は、学校祭での展示。これには力をいれました。そのとき花壇の活動とコラボレーションして、写真部室での写真展示以外に花壇のハーブや花びらを使った手作り石鹸を扱ったりもしました。石鹸を自由にお持ち帰りいただく形にしながら、募金を募ってその資金を使って次の年の花壇の資金にしました。

2学期になって、徐々に活動が活発になっていって。写真部室にソファーが手に入ったり、ありったけの写真を印刷して、壁に写真を貼ったりしました。あ、あと、職員室に水槽があって、その管理もやるようになったんですけど、学校祭で募った募金で熱帯魚を買ったりして。カエル(テバという名前がついています)のアイドルが誕生したのもこのころですね。

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ーー なんか、活動の幅がとても広いね。いろんなものがつながっていってる。そういえば、畑を作ったり、かまくら作ったりなんかもやってなかった?

そうですね。花壇も落ち着いて、草取りをするだけになったので、例の職員室のソファーで「グランドに畑をつくろう」と誰かが言い出したんです。「いいねー!」ってなったんですけど、グランドの土はとても堅くって。困っていたら、下宿のおじちゃんがご好意でグランドに重機を持ってきてくれて、土を掘り起こしてくれて、畑が出来上がりました。でもですね、畑ができあがってから、はたと、何を植えるのかを考えていなかったことに気がつき、次年度に向けてどうするかを考えて、この年は何も植えませんでした、笑。

で、3学期、北海道の冬は雪に覆われるので、花壇や畑はできないじゃないですか。だから、外での活動はほとんどなかったんですけど、「せっかく雪があるんだから、かまくらを作って鍋をやろう」という話になって、中庭にかまくらを作りましたね。インフルエンザが流行っていた時期でした、笑。

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ーー 1年生でこれだけのことをやっていたら、2年生になってからはもっといろいろ取り組んだのかな。

そうですね。まず、自分たちの活動が認められて、この活動に名前がつきました。青年海外協力隊からインスピレーションを受けたのと、大人の事情で「環境整備協力隊」という名前になりました。

花壇は1年生の時と同じように段取りをして。基本は花を綺麗に配置しながらですけど、この年はミニトマトとバジルを一部に植えました。活動を認めてもらえて同好会にはなりましたが、予算が2万円しかついていないんです。だから「部活の資金を集めるために、学校祭で何か売ろうか」という話になったんですね。このトマトやバジルを使って何かやろうと。で、僕は、夏休みの期間中、余市に住み込んで仕事をしていたので、その傍らミニトマトの収穫に精を出しました。

2学期に入って「で、実際何を売ろうか?」と話題になって、ジャムとトマトソース、バジルソースの3種類で行こうという話になりました。トマトソースは僕が夏休み中に一生懸命収穫したもの、バジルも花壇に植えて立派に育ったものを使いました。ジャムは、花壇でお世話になってる教育福祉村さんやフルーツパーク仁木さんに、ブルーベリーを積ませてもらいにいって、それを材料にしました。そして「ノーススター」とブランド名をつけて、3商品が出来上がりました。1年生の時と同じように、学校祭では、写真部室に写真の展示をして、一方でそれらを販売しました。どれも好評で売り上げも数万円単位になって、活動の資金も集まりました。

ちなみに、僕は、夏休みの間、トマトの収穫だけではなく、グランドの畑も手入れしていました。1学期中に「グランドの土の状態なら、大豆あたりじゃないと育たないんじゃ?」って先生がいうので、その言葉に流されるように「じゃ、大豆を植えて、最後は味噌をつくろう」という話になって。夏の間に植えた大豆は枝豆になってて、これが枯れるのを冬直前まで待ちました。2学期終わる前に味噌作りをしたり。それと、あまりにジャムが好評だったので、卒業生の方でリンゴ農園をされている方がいらっしゃって、落ちて商品にならないリンゴなんかをいただいたりして、リンゴジャムなんかも作って販売しました。

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ーー そして、今、3年生になってからの活動は?

強歩遠足で100kmを完歩しました。学校で用意されているのは70kmまでなのですが、先生にお願いして教員会議で話し合ってもらって、いろんな条件のもと100kmを認めてもらったんです。強歩遠足の前日、金曜日の授業が終わったら、すぐにJRに乗車して札幌に向かいました。15時からスタートを切り、結果ゴールしたのは26時間後。100kmも歩くなんて自分でも驚きました。

そして、強歩遠足の次の日の夜、写真部で学校に泊まって旭山動物園に撮影旅行に向かいました。一泊二日の撮影旅行。そのときの泊まったのは職員室だったのですが、そこに捨てる予定でおいてあったうちわの骨250本を写真部にもらって学校祭でうちわ販売をしました。花壇も2年生の時にジャム作りで得たお金を使って、ソーラーライトやアーチ3つを設置したり、その後ブランコももらい、花壇はメルヘンっぽくなりました。学校祭に向けて再びブルーベリージャム作りもやりました。

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ーー はぁ、とにかくやっては次に繋げたり、出会ったものをうまく活用して行っている感じだね。ちなみに、3年間、全体を振り返ってどうだった?あるいは、感じたことってある?

当時20歳で入学した自分は学校生活に貪欲になっていたんだと思います。その時々に出会った50期の活動をともにしてくれる子たちに助けられながら、話し合いの時に出る彼らの意見には感心することも多くて、勉強になりましたね。

僕は、現役である15歳の子のことはものすごく尊敬しているんです。自分の過去を振り返ったとき「その歳でなぜ学校に行けるの?」とも思いますし、こうして学校生活を送って頑張っている姿を素晴らしいなと思います。まぁ「もっと自分を見せればいいのに」とか「学校生活が一生あると思っているのかな」とか疑問に思うときもありますけどね。でも、いい歳して学生をやっている自分がいうことでもないなと思って黙って見てたり、さりげなくアプローチしています。

あ、卒業をあと少しとした今、感じたことというか、言葉を残すなら、3つあります。

まず一つ目は、強歩遠足で100kmを歩いてはいけないということ。体全体に広がるこれまでに味わったことのない痛みがひどかった。パンツが群れてお尻の穴周辺のかぶれ方も異常でした。100kmを歩く必要はまったくないです。たまに人生無茶をしてしまいたくなるときもありますが、やりすぎはよくないですね。

2つ目は、学生生活だけでなくプライベートや仕事でもそうですが、僕は、人生全てがエンターテイメントだと思っていて、その場にいるやつがその場を盛り上げる必要があると思ってるんですね。「誰かがやるから」ではなく「自分が行動を起こし盛り上げる」ってとても大切だなって。それって、ハードルが高いようで全然高くない。一生懸命取り組んで、思う疑問はみんなにぶつけて話せばいい。一歩を踏み出すのは勇気がいるけれど、人は、毎秒毎分、一歩を踏み出さなければ何も起きないよって思います。失敗も経験のうちですからね。

そして、最後、3つ目はうちわ販売の値段は400円に固定しないと利益がないということです。3年生の学校祭でうちわを販売したって言いましたけど、うちわを作る際のインク代や印刷用紙などの経費、その他に学校祭に向けて写真部でモザイクアートを作ったのですが、その経費を考えて、最初400円に設定したんです。けど、400円って学校祭で扱う単価としては、少し高くって。自分たちは400円という数字に気が重くなっちゃって、300円で売ったんですが、利益が全くなくなってしまった。ということで「400円でうちわ売るよ」の言葉は曲げてはいけない。どんだけ人生で路頭に迷っても「うちわ400円」だけは迷っても曲げてはいけないと思います。人生にはそういう曲げてはならない場面というのがあると思います。

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ーー あはは、なるほどね。ありがとう。楽しい学校生活の中から、いろんなことを吸収してくれたみたいで。残りの学校生活も良い時間を過ごしてください。

 

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