手紙
~拝啓、三十五の君へ~

2022.03.03 コラム

教育魅力化コーディネーター / 社会教育士

山﨑萌果

MOEKA YAMASAKI

拝啓、この手紙を読んでいるあなたは、どこで何をしているのだろう。
二十五の私には誰にも話せない悩みの種があるのです。

社会に出て3年。数ヶ月後にテストがあって、数年後には卒業するから、そのうち就職活動をして……。そうやってある種レールが引かれていた学生の頃は、いくぶん描きやすかった自分自身の数年後の未来が、社会人になると一気に描きづらくなった。

住む場所も、働く先も、自分で選ぶことができる。自分次第でどうにでも生きられる。そんな自由を手に入れた解放感を感じる一方で、先の見えない真っ暗な道をほんの少しだけしか先を照らしてくれない街灯とともに歩いているような気分になる。

住み慣れた関西を離れ、就職を機に島根に移住してもうすぐ3年目。

「こんなふうに教育に関わりたいのかもしれない……」国内外の教育現場を見て回りながら拾い集めた違和感やワクワクのカケラたちをつなぎ合わせた先に出会った島根県益田市。「とりあえずトライしてみんちゃい!」そう言ってもらえるこの環境で、日々いろんなことに挑戦させてもらっている。でも、挑戦すればするほど、自分の力不足や至らなさにぶち当たる。もっとできるようになりたいことがたくさん見えてくる。「もっとこういうスキルを身につけるには?」「一度教育の現場から離れてみるのもありなのかな?」ここでもう少し踏ん張って経験を積むこともできるし、ちょっと環境を変えてみることもできる。

今、自分の前には無限の可能性が広がっているからこそ、どの道に進もうかをすごく悩んでいる。学校を卒業して社会人になったらゴール!じゃなくて、そこからもずっと旅は続いていくんだろうと思う。生きている限りゴールなんてなくて、きっと常にもやもやぐるぐるしながらも人はそれぞれ自分の進みたい方向を探って歩き続けるんだろう。

三十五の私はどこで何をしていますか?
たくさん迷って悩んで、でもきっと最後は直感で決めた道を進んでいる私が「幸せだ」と感じられている未来を信じて、今と向き合って生きていこう。

文・写真:山﨑萌果

 

プロフィール

山﨑萌果 | Moeka Yamasaki

一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー職員(教育魅力化コーディネーター / 社会教育士)。大阪出身の25歳。小さい頃から教員に憧れ、大学では教育を学ぶため1年間フィンランドに留学。就職を機に島根県に移住し、主に探究の授業づくりや、社会教育プログラムの企画運営などに携わっている。特技はしゃっくりが1回で止まること。

 

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